2020 Fiscal Year Research-status Report
現代米国における白人至上主義を中心とした憎悪団体の民族誌的考察
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17K02035
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 靖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (70317311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 米国 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの感染拡大により海外渡航が不可能になったため、当初の研究目標・手法の大幅な変更を余儀なくされた。まず、海外における米国のオルトライトの影響についてはインターネットや書籍による情報収集が中心となった。ただし、2020 年の秋以降は、 Zoomなどを用いた海外の専門家や実務家へのヒアリングも限定的ではあるが可能になった。コロナによる外出自粛によりオンラインで過ごす時間が長くなり、オルトライトにとってはアウトリーチの機会が広がった。また、コロナへの対応をめぐる不満が高まったことも専門家やメディアへの不信がもともと強いオルトライトにとっては有利に働いた。こうした要因がより顕著な形で表れたのが陰謀論の世界的拡散である。アメリカのQAnonはヨーロッパやオーストラリアなどへも拡散し、それぞれの国・地域における極右政治に影響を及ぼしている。こうした動向を探る一方で、より根源的な白人(白人アメリカ人)をめぐる認識や受容そのものの歴史を理解する必要性を感じ た。コロナの影響もあり、その一端を探る意味で、占領期の日本をケースに国立民族学博物館(大阪)、福岡アメリカンセンター(福岡)、沖縄県立図書館(那覇)などを訪れ、当時の一次資料を調査した。この調査は当初の想定以上に面白く、今後、白人性 (whiteness)をめぐるポリティクスをより広い視点から位置付ける際に有益となりそうである。2020 年のアメリカ大統領選挙に関しては 日本国内でも陰謀論めいた言説が注目を集めたが、その根底には日本における白人理解という問題が横たわっているように思えた。海外渡航が可能になり次第、当初のヒアリングを実施する一方、日本国内における調査も同時に進めることで、より立体的に米国のオ トライトの世界的展開を理解することができるはずである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により海外渡航が不可能になったため、当初の研究目標・手法の大幅な変更を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染収束が見通せないため、国内での調査を以て本研究を締めくくりたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が不可能になったため。
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