2017 Fiscal Year Research-status Report
Chinese Diaspora and Religious Coexistence in Asia and Beyond
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17K02049
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
王 柳蘭 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (50378824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ムスリム越境 / 中国 / タイミャンマー国境 / イスラーム / キリスト教 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の実績としては、本研究にもとづく①フィールドワークの実施、②国内共同研究の実施、③研究成果の発信の3つに区分することができる。①については初年度にあたり、これまでフィールドワークの蓄積のあるタイ以外にも、中国ムスリムの居住する中国海南島におけるイスラーム環境の歴史的概要、中国系移民の人口が多いマレーシアやシンガポールでの中国系住民と現地社会におけるコミュニティの視察、さらには日本国内における中国系キリスト教徒社会における宗教実践についての参与観察を行った。他地域におけるフィールドワークを実施することで、多様な民族間関係・他者関係と地域社会の動態についての比較の視座を獲得することができた。②については、京都大学地域研究研究所における共同研究「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤と共生の動態に関する比較研究」(王柳蘭代表)を実施し、現在継続中である。移民・難民の自他認識と国家をめぐるせめぎあいの諸相を地域を超えて比較することで、多文化の共生に向けた課題解決について研究を進めているところである。③については、日本タイ学会、日本文化人類学会、世界海外華人研究学会、ならびに2本の国際ワークショップにて発表を行った。以上のように初年度においては、移民・難民をめぐる越境や他者関係と地域における共生といった課題について、これまでの研究をもとに、他地域との共同研究・比較研究へ展開するための基盤づくりができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマに関する個別研究にもとづいて海外や国内での学会発表を行い、さらに国内において比較研究の観点から他地域の研究者と学際的な共同研究を京都大学において1年間実施してきた。その成果は、今年度末に出版予定している。さらに今年度12月には、本テーマに関連した国際ワークショップを実施予定であり、連携準備を整えているところである。したがって、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年目においては、中国ムスリムの他者関係・共生と越境の動態について人類学・歴史学的視点による国際ワークショップを実施予定である。また、京都大学において実施てきた越境・難民・移民に関する研究成果の出版も企画している。今後はそれらをふまえて、英語での成果出版や成果発信を企画している。
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Causes of Carryover |
次年度において、国際ワークショップを準備予定しており、その準備資金として計上しているため。
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