2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Transformation of Electoral Politics and the Rise of 'Non-Elite' Popular Leaders in Indonesia's National and Local Governments
Project/Area Number |
17K02050
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インドネシア / 政治リーダーシップ / 選挙 / 政党政治 / コロナ / 治安 / 安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度(2020年度)に実施した研究は、コロナウイルスのパンデミックに対して、インドネシアの政治リーダーがどのように対応してきたのかが中心になった。庶民派リーダーと称される西ジャワ州の州知事、中ジャワ州の州知事、スラバヤ市の市長などは、住民との対話や医療重視を掲げて、市民の信頼を獲得する傾向が見えた。逆に、経済界とのつながりが強いエリート知事たちは、医療よりも経済活動を重視し、人の流れを抑え込むのに苦労して感染の拡大を招いてきた。政治リーダーシップの違いが感染症対策に大きく反映される実態を分析してきた。その成果は国際ジャーナルや共著本、学会、講演会で発表してきた。
研究機関全体を通じて、各地の首長選挙、大統領選挙、国会議員選挙、そしてコロナ禍の政治リーダーシップについて、「庶民派リーダーの台頭」という視点からのシームレスな分析を行ってきた。その意義は、民主化から20年を迎えたインドネシアにおいて、国民が求める政治リーダー像に大きな変化が生まれていることを実証的に示すことにあった。このことは、インドネシア政治の構造的変容を浮き彫りにする上でも重要であり、社会や経済や情報技術の発展とともに政治への期待も変わりつつある同国の姿を検証することができた。東南アジア各地で民主主義の後退や権威主義化が顕著になりつつある中、インドネシアの特性を比較の視点から考える重要な研究土台を作ることができた。
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