2017 Fiscal Year Research-status Report
照葉樹林文化圏におけるフロラと植物伝承利用の多様化の解析
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17K02065
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Research Institution | The Makino Memorial Foundation of Kochi Prefecture |
Principal Investigator |
藤川 和美 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (60373536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 明弘 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (30378567)
堀 清鷹 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (20806004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 民族植物学 / ミャンマー / シャン州 / チン州 / 伝承利用 / ミャンマー大紀行 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミャンマー連邦共和国(以下ミャンマー)、シャン州、チン州、カイン州の各地域において植物相を解明するために植物インベントリーを実施し、また当該地域の植物伝承利用について、地域住民が利用する植物を探索・収集した。これらの調査は、ミャンマー天然資源環境保全省森林局と研究協定を結び、同局森林研究所をカウンターパートとして研究所職員と共同で実施し、採集した標本のファーストセットはカウンターパート機関標本庫(RAF)に配架している。本年度の調査では、さく葉標本1175点を採集し、それらすべてのDNA分析用試料を収集した。また、これまでに収集されたさく葉標本の同定により対象地域のフロラの解明を進めた。 チン州の調査からは、チン族が利用する薬用植物82種が明らかとなり、これらをまとめてリスト化した。シャン州の調査では、DNAバーコーディングを用いた同定を進め、食用・薬用・工芸用・木材源・その他(宗教儀式等)で利用する植物、277種を特定し、このうち、工芸用・木材源として利用する植物をまとめ学術論文として発表した。また林産資源の利用について日本熱帯農業学会第122回講演会で発表し、XIX International Botanical Congress. Shenzhen, Chinaでは、ミャンマーの植物相解明の研究史と近年実施したインベントリーの成果を発表した。これら学術的成果の公表に加え、ミャンマーにおける植物および人々の暮らしにある植物利用の多様性を、企画展「ミャンマー大紀行」を開催しわかりやすくパネル、写真、実物を用いて展示し、広く社会へ情報を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協定の再締結に時間を要したため、現地調査・聞き取り調査は可能であったが、さく葉標本およびDNA分析用試料の輸出許可の申請が滞ったことから、本年度に採集した試料はすべて現地に保管されている。12月に研究協定締結が無事になされたことから、これら試料については許可を得て持ち出しをする目処がついた。 既存の試料について同定ならびに伝承利用の情報をまとめ・整理すること、企画展にて成果の公表、情報公開をすることができた。カイン州の植物相に関することは、既存の情報が蓄積されていないことから、インベントリー対象エリアを絞る必要があること、またタイ国境付近山間地域への入域許可の取得が困難であることから、パアンおよびラインブエの両地域に絞り調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の標本が蓄積されている、チン州、シャン州では計画通り成果が得られつつあることから、二年次はカイン州およびザガイン行政域で当該地域の植物相の特徴、ならびに伝承利用についての調査を実施する。また、ミャンマーのみならず、照葉樹林文化圏に該当する地域の伝承利用について既知情報・文献を収集整理する。
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Causes of Carryover |
イギリスでの比較標本の閲覧によるカイン州標本の同定を計画していたが、標本のミャンマーからの輸出許可が遅延したことにより、比較標本の閲覧のための渡航を持ち越した。
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Research Products
(5 results)