2019 Fiscal Year Research-status Report
照葉樹林文化圏におけるフロラと植物伝承利用の多様化の解析
Project/Area Number |
17K02065
|
Research Institution | The Makino Memorial Foundation of Kochi Prefecture |
Principal Investigator |
藤川 和美 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (60373536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 明弘 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (30378567)
堀 清鷹 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (20806004)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 民族植物学 / 照葉樹林帯 / フロラ / 伝統智 / 伝承薬 / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
ミャンマーチン州、カイン州、シャン州において、伝承薬として利用される植物、食用として利用される野生植物、ホームガーデンで栽培される植物の調査を3回実施し、フロラ調査を含め押し葉標本990点を収集し、全標本についてDNA分子実験用サンプルも収集した。収集した標本は随時、研究代表および研究分担者で同定を進め、2019年度は899標本の同定が終了した。 蓄積した民族植物学的な情報については、カイン州での調査結果としては、当該地域の植物の特徴とその利用をまとめ、加えてカイン州政府薬用植物資源センターで栽培している薬用植物8種についてミャンマー語訳もつけたガイドブックを出版した。チン州の伝承薬50種については、植物の特徴、利用、効能等および生態写真をつけたガイドブックの出版に向けて、現在ミャンマー語への翻訳を進めている。また、チン州でのホームガーデン調査結果から、栽培されている植物のうち約66%が食用で、次いで換金作物が20%を占めることが明らかとなった。生育型でみると、62%が草本類が占め、木本類は20%に満たない。共有地での焼畑ではトウモロコシ栽培を基本とし、ホームガーデンでは日常で食する葉菜類と換金作物を、乾季に豆類を栽培する傾向が見られた。豆類を植え土壌を肥やしているという。その他、飢饉に備えジュズダマを、伝統料理(儀式用)として、アワとシコクビエが植栽されていた。加えて、シャン州でのホームガーデン調査結果の一部を報告書としてまとめた。このように民族植物学的調査によって得られた情報と伝統智を含む知見を記録し、これまでに蓄積してきたフロラの特徴を併せ、その多様性と共通性を考察している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度まで野外調査は、研究協定のもと、調査対象としているザガイン行政域ナガを除き、順調に進んでいる。2018年度までに採集した押し葉標本を協定に基づき、ミャンマーから輸出、研究機関に導入することができ、2019年度採集標本の輸出許可がおりており、2020年度中に導入予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度1月より世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、3月中旬に2019年度予定していた調査を終え、日本に帰国した。2020年度の野外調査対象地域で、入国制限が継続された場合には、最終年度に予定していた補完調査およびザガイン行政域ナガでの調査、並びにフロラ解明のためのイギリスでの比較標本の検討などの実施が困難になることが予測される。また、ミャンマー都市部でのセミ・ロックダウンの影響によって、輸出許可がおりた採集標本を、日本へ輸出するための現地検疫等が進まない可能性がある。 上半期においてこれら入国制限やセミ・ロックダウンが継続している場合には、野外調査における季節性(植物の開花、結実時期)があるため、研究年度の一年延長が、計画した課題を遂行し結果を得るために最も現実的な対応策であると考えている。
|
Causes of Carryover |
ミャンマー出張旅費(早期帰国)と学会(3月)中止による旅費を使用しなかったため。次年度、ミャンマー出張旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Journal Article] Progress on Southeast Asia's Flora projects2019
Author(s)
D.J. Middleton, K. Armstrong, Y. Baba, H. Balslev, K. Chayamarit, R.C.K. Chung, B.J.Conn, E.S. Fernando, K. Fujikawa, R. Kiew, H.T. Luu, Mu Mu Aung, M.F. Newman, N. Tanaka, S. Tagane, C.D. Thomas, T.B. Tran, T.M.A. Utteridge, P.C. van Welzen, D. Widyatmoko, T. Yahara and K.M. Wong
-
Journal Title
Garden's Bulletin Singapore
Volume: 71
Pages: 1-52
Int'l Joint Research
-