2020 Fiscal Year Research-status Report
照葉樹林文化圏におけるフロラと植物伝承利用の多様化の解析
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17K02065
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Research Institution | The Makino Memorial Foundation of Kochi Prefecture |
Principal Investigator |
藤川 和美 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (60373536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 明弘 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (30378567)
堀 清鷹 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (20806004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 民族植物学 / ミャンマー / 植物資源 / 植物多様性 / フロラ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナ感染拡大により研究対象地域であるミャンマーでの調査および海外主要標本館での標本調査ができなかったが、これまで調査で得られた民族学的知見をまとめデータ化し、チン州、シャン州、カイン州で採集した標本800点を同定した。 今年度は、対象地域のフロラを採集標本に基づき解明するため、チン州でのフロラ結果をまとめ一部の分類群を目録化、目録の編集に携わり、シダ類、裸子植物、ラン科植物をまとめ出版した。シャン州で収集した標本の同定では、187科1,510種をこれまでに同定した。各地域のフロラ概要を把握する目的で主要樹種の垂直分布域を明らかにした。 これまでに蓄積した民族植物学的な情報は、随時データベース化を進めている。チン州の伝承薬50種について、植物の特徴、利用、効能等および生態写真をつけたガイドブックの出版に向け、ミャンマー語への翻訳が終了した。また、シャン州での民族植物学的調査結果から、野生種は86科287種が食用、薬用、木材源、工芸用ほか利用されていることを明らかにした。このうち種数が最も多い科はマメ科(28種)で、次いでショウガ科(15種)、ブナ科とキク科(13種)、シソ科とクスノキ科、ナス科(9種)であった。野生化している外来種が10.5%を占めた。食用と薬用ともに利用される種はツボクサ、ミロバラン、アンマロク、ソリザヤノキなど28種が確認された。このように民族植物学的調査によって得られた情報と伝統智を含む知見を記録し、これまでに蓄積してきたフロラの特徴を解析して、その多様性と共通性を考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナ感染拡大で海外への渡航ができず、最終年度に予定していた海外主要標本館での標本調査および現地調査対象国であるミャンマーでの補完調査が進捗しなかった。オンライン標本データベースを活用した同定、オンライン会議などで現地共同研究者と研究を進めているが、予定より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画を一年延長し、2021年度を最終年度として研究をまとめる。当初予測していなかったコロナ感染拡大による渡航停止が影響しており、これらの対処方法としてオンライン標本画像データベースを活用した採集標本の同定を推進する。時間を要しているが、概ね2021年度に終了する見込みである。 対象地域であるミャンマーでの補完調査のための渡航は厳しいことから、対象地域の文献調査による比較およびこれまでの調査によって得られた分類学的な解析を中心に研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大によって2020年度渡航中止となった補完調査での調査費用残が生じた。2021年度は、得られた調査結果と近隣地域の比較を行うため、補完調査に代え文献調査を行うとともに、これまでの調査結果をまとめてデータベース化するためのデータ入力補助員の雇用を行い業務を推進する。また、ミャンマー薬用植物冊子を本研究課題の成果物として印刷出版する。その他、論文英文校閲料および国際学会(オンライン)参加費として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)