2017 Fiscal Year Research-status Report
現代インドネシアにおける「移住・家事労働者」の変容
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17K02067
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
平野 恵子 北海道教育大学, 教育学部, 特任准教授 (50615135)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 移住・家事労働者 / インドネシア / 海外雇用政策 / ギグ・エコノミー / 組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度にあたる2017年度は、ギグ・エコノミーと労働者に関する国内研究会に2回参加し、またインドネシアジャカルタにおいて1回の現地調査を実施した。 ギグ・エコノミーと社会運動に関する研究会では、労働法上の労働者性がない非正規雇用の実態を学ぶとともに、本研究で調査課題の一つである、インドネシアにおけるギグ・エコノミーと再生産労働という調査課題において、インドネシアの文脈でこれら個人請負の問題を検討するためのヒントを得た。 ジャカルタでの調査においては、①国内家事労働者の組織化および②2017年11月に成立した新移住労働者法(2017年法第18号)に関し、関係者へのインタビュー調査を実施した。①国内家事労働者の組織化については、家事労働者アドボカシー国内ネットワークに属するジャカルタ家事労働者組合メンバーに対し、移住家事労働者としての経験や組合への参加の契機、そして現在の活動等について話を聞くことが出来た。インドネシアにおいて家事労働者は労働法制上の労働者性を有しておらず、また権利保護の基盤となる家事労働者法案は2018年4月現在14年の間審議がストップしたままである。こうした現状において、家事労働者組合が展開する運動は、インドネシアにおける家事労働者=家族の一員(非労働者)、家事労働者=低賃金といった認識を覆すものである。 ②移住労働者保護法は、2004年法第39号「移住労働者の派遣・保護に関する法律」の修正法として位置づけられるもので、7年越しの審議によって2017年11月に成立した。労働者の派遣プロセスに多くの条文が割かれていた2004年法に比して移住労働者の保護や、労働者の人権侵害を引き起こす人材派遣会社に対する厳罰化が特徴として挙げられた。また、条文修正に当たっては移住労働者支援NGOの関与の度合いが大きい法律であることが、関係者へのインタビューによって明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の研究機関異動の決定が2018年2月後半にずれ込んだため、調査計画が立てられず予定していた東ジャワ州での調査を実施することが出来なかった。 しかしながら、ジャカルタにおける家事労働者組合の組織化およびギグ・エコノミー従事者に関する調査は当初の想定以上に進展しており、国際学会および国内学会において中間報告を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかった調査は、今年度の調査日程を延長することで対応する。 また当初予定以上に進展している調査課題については、学会において中間報告をおこなうことで、成果の発表につなげていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者の研究機関異動の決定が2018年2月後半にずれ込んだため、調査計画が立てられず予定していた東ジャワ州での調査を実施することが出来なかった。本調査については、2018年度に調査日程を延長することで対応する。また、繰り越し分の一部は国際学会での報告に充てる。
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Research Products
(3 results)