2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Career Developments of Women and Management of Organizations Which Aim for Social Contributions
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17K02073
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 紀子 横浜国立大学, 男女共同参画推進センター, 准教授 (40625117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キャリア形成 / 組織運営 / 女性労働 / NPO / ソーシャルビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目となる平成30年度は、先行研究の整理、研究協力者との関係構築、日本と英国における聞き取り調査、2019年度に実施するアンケート調査の実施方法の検討などを行った。 具体的には、第一に、平成24~27年度に科研費で実施したアンケート調査の個票データを用いて分析した論文を投稿した。論文は、現在、査読審査中である。また、先行研究のサーベイとして、引き続き、一般企業における女性の働き方とキャリア形成に関する文献研究、日本および米国・英国における民間非営利組織の担い手や組織運営に関する文献研究、組織論や人的資源管理論など経営学の知見について文献研究を行った。第二に、研究協力者ともなるNPOの中間支援組織の理事長や事務局長などと意見交換を重ねて信頼関係の構築を図ったほか、東日本大震災の被災地で社会課題の解決を目指して事業を立ち上げた女性を経済的に支援する公益財団法人の事業に参加した。さらに、各種の催しなどに参加して、担い手となる女性の実際の状況、事業運営の様子を理解するなど、今後の参考となる事例の蓄積を進めた。第三に、社会貢献事業で長い歴史をもつ英国・ロンドンを中心に、チャリティ団体と社会的企業の計6団体の7名(女性6名、男性1名)の管理職者および創業者に聞き取り調査を行い、組織の特長や事業運営の状況について学び、考察を深めた。第四に、令和元年度に予定する団体向けアンケート調査の実施方法について、情報収集を開始した。 以上のように、平成30年度は研究を本格化させるとともに、研究対象となる方々や関係者との関係構築を進めた。令和元年度に実施するアンケート調査や学会報告、論文執筆を着実に進めるために必要な研究を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に実施する予定であった研究計画のうち、アンケート調査は準備が思うように進まなかったため年度内の実施を見送ったものの、英国のロンドン、ブリストルおよび東北の被災地における聞き取り調査や資料収集をはじめ、日本や諸外国の先行研究のサーベイ、経営学の視点による文献研究などは、順調に進めることができた。また、東日本大震災の被災地で、地域課題の解決を目指す事業に携わる女性を支援する公益財団法人の事業に参加することもできた。 これら平成30年度に実施した数々の研究を通じて得られた新たな着眼点は、令和元年度の研究に影響を与え、研究内容や進捗に大きく貢献するものと考えられる。もっとも、概ね、当初の想定の範囲内であるとはいえ、本務として当初予期していなかったプロジェクト事業が平成30年度から始まり、その対応に従事していたため、アンケート調査の実施は令和元年度となり、研究がやや遅れている状況であることは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、平成30年度に続き、先行研究の整理や研究動向のチェック、聞き取り調査を続けながら、①ソーシャルビジネスと一般企業との比較、②社会貢献を目指す組織について日本と諸外国との比較を軸にして、組織における女性の育成の様子について、学会報告や論文などの形で社会に還元する。今後は研究の優先度を高めて、速やかに遂行していく。 また、社会課題の解決を目指すNPO法人や公益財団法人などの組織を対象としたアンケート調査を実施する。米国、英国で行った先進的な事例の聞き取り調査の結果から得られた知見、これまで信頼関係を築いてきたNPO関係者や起業家などの意見を参考にしながら、調査の実施方法と調査対象の決定、調査票の作成を速やかに行い、円滑な実施につなげる。そして、アンケート調査の結果を社会にフィードバックするために有効な手段の検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、本務として当初の予定外のプロジェクト事業の立ち上げと各種の対応に従事し、計画通りに準備を進めることができなかったため、アンケート調査の実施を見送った。平成30年度に計上しながら未使用となった経費は、令和元年度に実施するアンケート調査にかかる費用などとして使用する。
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