2018 Fiscal Year Research-status Report
Colonialism Revisited: in the case of creole women
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17K02077
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
堀内 真由美 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60449832)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱植民地化 / 英領西インド諸島 / 西インド連邦 / ポストコロニアル文学 / ジェンダー / ジーン・リース / フィリス・オーフリー / 「ブラック・フェミニズム」 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、ハリケーンによる被害から公文書館と図書館の復興がいまだ完了していないことから、英連邦ドミニカへの資料調査には行けなかった。そのため、7月と2月に行う資料調査は、いずれも連合王国(ロンドン)で実施した。 2回の調査では、ロンドン大学本部図書館(Senate House Library)とロンドンのブリクストン地区にあるBlack Cultural Archivesで、主に、西インド移民に関する資料を取集した。とりわけ2018年度は、本格的にイギリスに当時の英領西インド諸島からの労働移民が来英した「ウィンドラッシュ号」入港70周年にあたり、British Library, Museum of Londonなどで、「ウィンドラッシュ」世代のイギリスでの苦難の日々を回顧する展覧会などが開かれ、その模様を観覧することができた。 2018年度は、移民政策におけるイギリス内務省の不作為が露呈し、新聞・ニュースで大きく取り上げられた年でもあった。西インド移民の今日まだ続く苦境が改めてイギリス社会に知られたことから、かれらを取り巻く移民政策に関する資料にも触れられたことが収穫だった。 とりわけジェンダーに関わる事柄については、2018年度は、「ブラック・フェミニズム」に関する資料に出会え、1970年代から「ウィンドラッシュ」第二世代を中心とした、いわゆるイギリス生まれの「ブラック・イングリッシュ」の女性たちが展開した、ブラック・コミュニティじたいの解放をめざす運動をまとめ、一つの論考に仕上げられたことが大きな成果であった。 また、これらの成果が、他のカリブ海研究に携わる研究者グループとの遭遇をもたらしてくれ、共同での研究会を開催できたことも大きな喜びであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも挙げたように、ハリケーン被害からの復興が未完の英連邦ドミニカへの資料調査ができないでいることが、唯一の研究進捗へのブレーキになっている。 しかし、そのことを差し引いても、英国への西インド移民二世たち、とりわけ「ブラック・女性」の反差別・反抑圧の運動史の全貌に迫りつつあること、また、カリブ海域を研究対象とする研究者たちとの出会いに恵まれ、双方の情報を交換しつつ、自己の研究課題がより明瞭になってきたことが、「おおむね順調に進展している」理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
現地とのやりとりを続けているが、おそらく最終年度の2月に予定している英連邦ドミニカへの資料調査は実現できると思われる。それまでに、主にロンドンで入手した資料をまとめ、本研究のテーマである、クリオール(白人)女性の「植民地責任」ついては、これまでの研究ですでに発表した論文をもとに、さらに調査したい項目を明らかにしておきたい。 また、クリオール女性の経験と対比する目的で考察していた、イギリスへの西インド移民の体験や心情も、すでに入手している資料をもとにまとめ、次回ドミニカを訪れる際、より詳細な事情を把握できるよう準備しておく。
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Causes of Carryover |
年度に2回資料調査を行うイギリス(ロンドン)と英連邦ドミニカのうち、後者への渡航と調査が、ハリケーン被害からの復興が未完のためできず、2度とも近距離であるロンドンで済ませたことにより、渡航費にかかる差額が生じた。2019年度は、ドミニカへの渡航が実現できそうなため、渡航費として使用する予定である。
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