2020 Fiscal Year Research-status Report
Nationalism in Modern Germany and Diverse Women's Movement including Japanese Cases
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17K02080
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
姫岡 とし子 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 協力研究員 (80206581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジェンダー / ネイション / ナショナリズム / 女性運動 / 植民地 / ドイツ / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はコロナでドイツに行くことができず、あまり研究を前進させることができなかった。研究文献を読み直しながら、最後のまとめに向けた構想を考えた。対象とするのは、ナポレオンによるベルリン占領という屈辱感のなかネイション形成に向けた試みが行なわれるようになったナポレオン戦争期から第一次世界大戦までの100年間を対象とする。ナポレオン戦争期は自然の性差を強調する近代的なジェンダー形成の時期でもあり、戦争期には闘う男性像があらたに登場した。ネイションは、家を守る女性と武器をとって祖国を守る男性との協働というジェンダー化された形で存続するとされた。ネイションでは男女の居場所と役割は異なり、ナショナルな運動に女性も参加するが、ここでも男女の領域分離と活動内容の違いが原点となる。覇権競争に参加し、植民地獲得に意欲をもつようになった世紀転換期以降、女性たちも男性同様に、こうしたナショナリズムを支援し、ドイツの血と文化を維持・強化するために積極的に活動した。 その他、以前に収集した史料を読み直し、比較の観点からイギリスの動向にも注目した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度最終年度の予定だったので、ドイツに行き、最後の史料を集めてまとめの論文を書く予定だったが、コロナのためドイツに行けず、本年度の予定がそのまま次年度にもちこしとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、最終年度なので、できればドイツに行き、最後の史料収集をし、まとめの論文を書く予定である。19世紀ドイツでのネイション形成が議題となったナポレオン戦争期から、第一次世界大戦開戦前夜までの100年間を対象とし、1,ネイション形成にジェンダーがどう絡んでいるのか、2,1860年代以降に誕生した恒常的なナショナルな女性運動は、どのような活動をし、男性によるナショナルな運動とどう棲み分けをしたのか、3,世紀転換期に覇権主義と人種主義的なナショナリズムが高揚した時期に、女性たちは、こうした傾向にどう関与したのか、4,ネイション・ナショナリズムは女性の政治化にどのような影響を与えたのか、といった点を解明するまとめを行ないたい。
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Causes of Carryover |
コロナのため、ドイツ出張も国内出張もできず、予定していた予算を使うことができなかった。
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