2019 Fiscal Year Research-status Report
平和構築・復興支援の比較ジェンダー分析:開発のための政策一貫性のアプローチ
Project/Area Number |
17K02087
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
高松 香奈 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (10443061)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ジェンダー / 開発援助政策 / 安保理決議1325 / 政策一貫性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、OECD-DAC加盟国の中でも、主要ドナーと呼ばれる6カ国(米、英、独、日、仏、スウェーデン)の政策、具体的には「開発援助政策」「安保理決議1325行動計画」「外交・安全保障政策」「ジェンダー関連政策と現状」を、「ジェンダー視点に立った“開発のための政策一貫性”」の枠組みから分析し、安保理決議1325がなぜ、平和構築・復興支援に対し意図していたインパクトを与えられなかったのか。そして、その欠如をもたらす要因について議論することを目的としている。特に、2019年度は、これまで行ってきた各6カ国の各分析結果を比較し、「安保理決議1325」との関係性を踏まえ考察することを目的とした。対象国の多くで、政治動向に影響を受けながら、外交・安全保障政策はより顕著に自国利益優先型になっていることに加え、同時に開発援助政策もより国益化している傾向にある。一方で、ジェンダー、安保理決議1325行動計画の実装においては、比較的積極的な「姿勢」が見られる。ただし、これらはジェンダー関係を変革することを企図されたものとは言えない状況が、データ等でも示され、今後の復興支援等を考える上でも意義があると考える。 2019年は研究最終年と位置付けていたが、各国の分析を行う上で問題が発生した。これまで国際援助の世界において、先駆的な取り組みが行われてきたと考えられてきた英国では、2015年以降、徐々にではあるが開発援助政策に変化が見られたことに加え、新政権下では援助実施体制をめぐる議論(実施団体と外務省との統合など)が展開されはじめている。これらの議論は政策一貫性を考える上でも、重要な点である。すなわち、研究期間を延長し、この議論を丁寧に考察していく必要があると考える。したがって、今後の研究としては、この変化も含みながら、政策一貫性の観点から分析を行っていく計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
既述の通り、対象国のうち、英国において開発援助の理念、そして実施体制の見直しにつながるような議論が発生している。想定外の事であったとしても、丁寧な議論の考察が必要と考えるため、予定よりも遅れが発生した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2019年に実施できなかった、英国の援助をめぐる議論、特に新政権化において開発援助がどのように変容しているのか、そしてそれをもたらす政策とは何かについて丁寧に考察し、この考察を踏まえ、6カ国の比較分析を行っていく。
|
Causes of Carryover |
研究が遅れたため、研究の延長とそれに伴う次年度使用が発生した。これが大きな理由の一つである。また、2019年3月に予定していた研究発表(海外)が感染症防止のため中止となったため、2020年度に改めて学会報告を行いたいと考えている。研究の遅れは新たに考察が必要な状況が発生したためであり、これに関しては資料収集と文献調査を計画している。
|
Research Products
(3 results)