2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Historical and Regional Borderlines in the East Asian Women Artists
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17K02096
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
小勝 禮子 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (80370865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アジア現代美術 / 女性美術家 / ジェンダー / 歴史 / 地域 / 境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]研究体制の構築とネットワーク形成、および基本文献収集 研究協力者の大学研究者、各美術館の学芸員、調査対象のアーティストらと主にメールにより連絡を取り、調査対象の女性アーティストや現地研究者によるネットワークを作成し、それを基に文献・資料を調査し、収集した。 [2]国際展の事前データ調査・現地調査 国際展の調査 2018年に多く開催されるアジアの国際展の事前調査として、ヨーロッパで開催された大規模な国際美術展である、ドイツ、カッセルのドクメンタと、イタリアのヴェネツィア・ビエンナーレの調査を行なった(9月)。その中でのアジア女性作家の数や作品の内容、評価のされ方などを分析・調査した。また、アジアの国際展として、インドネシアのジャカルタとジョグジャカルタで開催されたビエンナーレ調査を行った(11月)。ジョグジャカルタでは、アーティストやキュレーターによるギャラリーやレジデンス施設、アーカイヴ施設など、市内に点在する複数のアートスペースを調査することができ、大きな収穫を得た。インドネシア調査以前に、東京で開催された東南アジアの現代美術展「サンシャワー」展(7-10月)のために来日した美術家やキュレーターと交流することができ、アジア調査のための人的ネットワークが開拓できた。 [3]アジアの女性アーティストの作品・聞き取り調査 ジャカルタで女性美術家ヤヤ・スン氏のアトリエを訪問。作品調査や聞き取りを行った。沖縄在住の美術家として、阪田清子氏の個展(横浜)を調査し、聞き取り(9月)。また石川真生氏の個展(沖縄と埼玉)も調査し、聞き取りを行った(9月、2月)。 [4] 研究会の開催 研究協力者による研究会を開催(場所・福岡アジア美術館、研究協力者:北原恵、ラワンチャイクン寿子、中尾智路、趙純恵、九州大学教授・後小路雅弘ほか)。アジア女性美術家に関する大学院生3名の研究発表。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・1年目の目標としていた研究体制の構築とネットワーク形成、および基本文献収集を順調に行うことができた。 ・海外の国際展調査として、ドイツ、カッセルのドクメンタと、イタリアのヴェネツィア・ビエンナーレの調査を行なうことができた。こうしたヨーロッパの国際展で、アジアの女性美術家の占める人数や評価のされ方などを観ることも、アジア女性美術家のアートを研究するうえで重要である。また、インドネシアのジョグジャカルタとジャカルタのビエンナーレ調査も行うことができた。報告者にとってインドネシア調査は初めてであり、他のアジア地域と比較してインドネシアの2都市のアート、および女性美術家の活動、評価などを比較考察することができた。 ・当初予定していた中国調査については、予算および本務の日程の都合上、実施することができなかった。今後、2年目、もしくは3年目にうまく展覧会や美術家とのタイミングが合えば実施したい。 ・女性美術家の聞き取り調査は、インドネシア、沖縄のみ実施したが、今後、他の地域の女性美術家にも拡大して行きたい。実際の面談が無理な場合は、インターネットを利用しての調査も考えている。 ・研究会の開催は、予定通り福岡アジア美術館を会場として、アジア女性美術家をテーマとする、大学院生3名の研究発表会を行い、報告者や研究協力者が質疑応答に参加し、若手研究者のアジア女性美術研究を振興させ、次世代につなぐ機会を提供できた。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] アジアの国際美術展調査 2年目の2018年は以下の国際展が東アジアで開催される予定である。光州ビエンナーレ、釜山ビエンナーレ(韓国)2018年 シンガポール・ビエンナーレ(シンガポール)2018-19年 台北ビエンナーレ(台湾)2018-19年 これらの全てを代表者が調査することは困難だが、研究協力者の協力を得て、できるだけ多くの国際展を実地に訪れたい。3年目の最終年度も引き続き、前年までに調査できなかった地域の女性美術家調査を継続したい。 [2] アジアの女性アーティストの作品・聞き取り調査 上記の国際展調査に際して、新たな女性美術家や、これまで知っていた美術家の新作などを調査し、本人と交流して、アジア女性美術家データベースへの協力を依頼したい。 [3] 調査結果を総括する報告書と「東アジアの女性アーティスト」のデータベース作成 最終年度にこれまでの調査結果を総合し、調査した東アジア女性アーティストの資料を電子化してデータベースを作成する。世界に向けて効果的に発信するべく和英バイリンガルとする。申請者の本研究の成果として、地域、社会、歴史と関連したアジア女性アーティストの作品を「境界」で読み解き、将来への展望を総括する報告書を作成。印刷もしくはウェブにより公開する。 [4] 研究会の開催 2年目の調査を総括する研究会開催(場所・沖縄県立芸術大学予定、研究協力者:金惠信、北原恵ほか、沖縄県立博物館・美術館学芸員、豊見山愛、町田恵美ほか)、最終年度:3年間の研究調査を総括する研究会を開催(場所・大阪大学予定、研究協力者:北原恵、金惠信、およびその他の研究協力者)し、一般にも公開する予定。以上の様に、当初の計画に即して、本研究を推進していく予定である。
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Research Products
(1 results)