2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Historical and Regional Borderlines in the East Asian Women Artists
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17K02096
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
小勝 禮子 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (80370865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アジア現代美術 / 女性美術家 / ジェンダー / 歴史 / 境界 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]研究体制の構築とネットワーク形成、および基本文献収集 初年度に引き続き、研究協力者の大学研究者、各美術館の学芸員、調査対象のアーティストらと主にメールにより連絡を取り、調査対象の女性アーティストや現地研究者によるネットワークを活用し、それを基に文献・資料を調査し、収集した。 [2]国際展の事前データ調査・現地調査。各国の女性アーティスト調査。 ① 韓国調査 メディア・シティ・ソウル(ソウル市立美術館)、光州ビエンナーレ、釜山ビエンナーレの国際展調査。ソウル市、および水原市で開催されたユン・ソクナム個展の調査。 ② 台湾調査も行う予定であったが、報告者が学術協力したアジア女性写真アーティストによる企画展「愛について アジアン・コンテンポラリー」が東京都写真美術館で開催されたため、高雄の侯淑姿(ホウ・ルル・シュウズ)氏が来日し、情報交換することができた。ほかに出品作家の韓国、中国、在日韓国人の女性アーティストにもインタビューを行った。また台北ビエンナーレについては、研究協力者の北原恵氏が現地調査し、情報提供を受けた。そのため、台湾調査は可能であれば最終年度(2019年度)に延期することとした。 ③沖縄の女性とアートをテーマとした研究会を開催(場所・沖縄市坂田清子スタジオ、研究協力者:金惠信、北原恵、町田恵美ほか)。沖縄の女性アーティストや批評家、学芸員7人による発表をお願いし、参加者で沖縄のアートにおける女性の表現について質疑応答した。 ④シンガポール調査 2015 年開館のナショナル・ギャラリー(近代美術)とシンガポール・ビエンナーレの調査を行う予定であったが、同ビエンナーレが2019年秋に延期されたため、調査も最終年度(2019年度)に延期せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・2年目の目標としていた研究体制の構築とネットワーク活用、および基本文献収集を引き続き順調に行うことができた。 ・海外の国際展調査として、韓国のソウルと、光州、釜山の各ビエンナーレの調査を行なうことができた。こうしたアジアの隣国の国際展のなかで、アジア諸国の女性美術家の占める人数や評価のされ方などを観ることも重要である。また、韓国を代表するフェミニストの女性美術家であるユン・ソクナム氏の新作個展がソウル市と水原市で開催されていて、ビエンナーレ調査と同じタイミングで調査できたのはたいへん効率的で重要であった。 ・当初予定していた台湾調査については、本務の日程の都合上、実施することができなかった。今後、最終年度にうまく展覧会や美術家とのタイミングが合えば実施したい。ビエンナーレ開催延期のために調査できなかったシンガポールについては、最終年度にぜひ調査を実施したい。 ・女性美術家の聞き取り調査は、東京都写真美術館での企画展出品のために来日した中国や韓国、台湾の女性美術家に実施することができたが、今後、最終年度に他の地域の女性美術家にもより拡大して行きたい。実際の面談が無理な場合は、インターネットを利用しての調査も考えている。 ・研究会の開催は、予定通り沖縄市を会場として、沖縄の女性美術をテーマとして、美術家4名、キュレーター3名の発表会を行い、報告者や研究協力者が質疑応答に参加して、沖縄という地域・歴史における女性と美術について問題点を洗い出し、考察を深める機会を提供できた。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] アジアの国際美術展調査 3年目の2019年はシンガポール・ビエンナーレ(シンガポール)2019年11月~2010年3月が開催される。またヴェネツィア・ビエンナーレも開催される2019年6-9月。これらを代表者がすべて調査することは予算的に困難だが、研究分担者の協力を得て、できるだけ多くの国際展を実地に訪れたい。最終年度も引き続き、前年までに調査できなかった地域、シンガポール、台湾、中国、香港などの女性美術家調査を継続したい。 [2] アジアの女性アーティストの作品・聞き取り調査 上記の国際展調査に際して、新たな女性美術家や、これまで知っていた美術家の新作などを調査し、本 人と交流して、アジア女性美術家データベースへの協力を依頼したい。 [3] 調査結果を総括する報告書と「東アジアの女性アーティスト」のデータベース作成 最終年度にこれまでの調査結果を総合し、調査した東アジア女性アーティストの資料を電子化してデータベースを作成する。世界に向けて効果的に発信するべく和英バイリンガルとする。申請者の本研究の成果として、地域、社会、歴史と関連したアジア女性アーティストの作品を「境界」で読み解き、将来への展望を総括する報告書を作成。印刷もしくはウェブにより公開する。 [4] 研究会の開催 3年間の調査を総括する研究会開催(場所・大阪大学予定、研究分担者:北原恵、金惠信、およびその他の研究協力者)し、一般にも公開する予定。以上の様に、当初の計画に即して、本研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
・次年度使用額が生じた理由 2018年度に実施する予定であったシンガポール・ビエンナーレ調査が、同ビエンナーレの2019年11月開催への延期のため、実施することができなかった。次年度使用額はそのために生じた。 ・使用計画 当初の計画通り、シンガポール・ビエンナーレ調査を実施する。また最終年度に、これまで研究協力者であった北原恵氏と金惠信氏を新たに研究分担者として、より深く当該研究に関わってもらうこととした。そのため両氏に分ける分担金としてその一部を使用する。
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