2019 Fiscal Year Research-status Report
権利アプローチに基づく「性と生殖に関する健康」:アジアでの実践の適用可能性の検討
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17K02101
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
三輪 敦子 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 嘱託研究員 (90414119)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジェンダー / 人権 / 権利アプローチ / エンパワメント / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
権利アプローチに基づいて、アジアの女性のエンパワメントを実現するにあたっての基本的枠組の検討をおこない、当該科研費研究が目標としていた成果に近づきつつある。インドとスリランカでのフィールド調査に基づき、農村部に暮らす女性たちが、自身の健康の問題についての認識と問題への対応を通じて、権利意識を育み、周囲の人たちとの関係を変化させ、権利の実現という観点から自身の福祉と幸福を捉え直す過程について示唆に富む知見を得ることができた。 エンパワメントを阻む要因を、アマルティア・センが論じる「選択的選好」、カンディヨーティが論じる「家父長制バーゲニング」という概念を用いて整理し、センが提起した「協調的対立」を越え、自身のエージェンシーの認知に立ったエンパワメントを実現するための実践的な枠組を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「選択的選好」、「家父長制バーゲニング」という概念を用い、また、センが提起した「協調的対立」概念を分析の際の枠組として検討を進めたが、昨年は、2019年に大阪で開催されたG20大阪サミットにかかるアドボカシーに関わり、多くの時間を割くことになったこと等により、想定したスピードで研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度にあたることから、上述の枠組に基づいた検討をさらに進め、アジアにおいて、地域的文脈に十分に配慮しながら権利アプローチに基づいて女性のエンパワメントを実現するための具体的戦略と方策をさらに精緻化し成果としたい。 今年度の後半に、インドでの追加のフィールド調査をおこないたいと考えていたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないため、国内でのフィールド調査に予定を変更することも検討している。
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Causes of Carryover |
2019年度に開催されたG20大阪サミットにかかるアドボカシーに関わったこと等により、本研究に十分な時間を割くことができない状況が発生し、そのために2019年度に予定していた研究計画の実施が遅れたために次年度使用額が生じた。2020年度に繰り越して実施し、本研究の完成を目指す。
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