2020 Fiscal Year Research-status Report
権利アプローチに基づく「性と生殖に関する健康」:アジアでの実践の適用可能性の検討
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17K02101
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
三輪 敦子 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 嘱託研究員 (90414119)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジェンダー / エンパワメント / 権利アプローチ / 文化 / 社会規範 / 開発 / 性と生殖に関する健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、パンデミックの影響により、権利アプローチを通じて女性のエンパワメント実現を支援してきたインドの研究者・NGOワーカーを招いて実施を予定していた国際セミナーの開催を断念せざるを得なかったのは、非常に残念であった。2021年度も対面での実施は困難と考えられることから、オンライン開催を検討したいと考えているが、ワーカーの活動地域はインド、マハーラーシュトラ州の農村部であり、実施には丁寧な検討と準備が必要であることが予想される。 インドでの追加調査も不可能になったことを踏まえ、2020年度は、再度の文献の読み込みと、権利アプローチに基づいた「性と生殖に関する健康」および女性のエンパワメントの実現に向けたアジアでの実践にあたっての枠組の検討に時間を割いた。「家父長制バーゲニング」「適応的選好」「協調的対立」概念を用いることにより、ケイパビリティ・アプローチに基づいた権利アプローチの実践が、ジェンダー規範の影響を受けた認識の歪みを変革し、女性のエンパワメントを可能にするための枠組の構築に一定の進展があったと考えている。インドでの現地調査を踏まえ、特に「ジェンダーに基づく女性に対する暴力」の克服に焦点を当て、権利アプローチが果たせる役割を、枠組構築の核としたいと考えている。 最終年度にあたる2021年度は、連携研究者との議論や検討をさらにおこない、権利アプローチに基づく「性と生殖に関する健康」ならびに女性のエンパワメントに関する実践枠組の完成に向けて研究をおこなう。研究成果については、学会での報告や書籍の刊行を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドでの追加調査が不可能になったことを踏まえ、2020年度は、再度の文献の読み込みと、権利アプローチに基づいた「性と生殖に関する健康」ならびに「女性のエンパワメント」の実現に向けたアジアでの実践にあたっての枠組の検討に注力した。「家父長制バーゲニング」「適応的選好」「協調的対立」概念を用いることにより、権利アプローチの実践が、ジェンダー規範の影響を受けた認識の歪みを変革し、特に「ジェンダーに基づく女性に対する暴力」への対応に関して、行為主体性に基づいた女性のエンパワメントを促すための有効な枠組の構築に向け、一定の進展があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に予定していた、インドにおいて権利アプローチを通じて女性のエンパワメントを実践してきた研究者・NGOワーカーを招いての国際セミナーの開催を再検討する。オンライン開催を検討したいと考えているが、ワーカーが活動しているのはインド、マハーラーシュトラ州の農村部であり、丁寧な検討と準備が必要であることが予想される。 同時に、権利アプローチを通じた女性のエンパワメント実現のための枠組の構築を完成させることに注力する。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響で、予定していた国際セミナーを中止せざるを得ないなど、大幅な計画変更を余儀なくされた。
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