2018 Fiscal Year Research-status Report
観光空間との相互作用を考慮した観光回遊モデルの構築とシミュレーション分析
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17K02104
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
深田 秀実 小樽商科大学, 商学部, 教授 (40547866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 雄一 北海道大学, 文学研究科, 教授 (90250399)
川村 真也 中部大学, 中部高等学術研究所, 研究嘱託・研究員 (20706775)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 観光回遊行動 / 行動モデル / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,観光空間とその相互作用を考慮した観光歩行回遊行動モデルを構築し,観光空間において「どのような相互作用が観光行動の意思決定に最も影響を与えるか」をマルチエージェント・シミュレーション分析で明らかにすることを最終目的とする.ここで,「観光空間」とは,観光都市内の賑わいを作る街路等の「人の流れ」,および 観光スポット・お土産店での会話といった「観光の場」とする.また,研究対象とするフィールドは,北海道の代表的な観光地のひとつとなっている小樽市である. 2018年度は,昨年度に行った(A)文献レビュー,(B)「人の流れデータ」の入手,(D)「ビデオカメラを用いた観光行動調査」に続き,これらの調査で入手した映像データ等をもとに,「(E)観光空間との相互作用に着目した観光行動時の会話分析」と「(F)観光行動モデル構築」を実施した. 「(E)観光行動時の会話分析」では,観光場面における相互作用として,「観光スポット等での店舗従業員などとの会話」という相互作用により得られる情報を「受動的情報取得」という構成概念として案出することが出来た.また,QDAソフトウェアを用いることで,観光場面における会話データの全体像を一定可視化できる可能があることが分かった. また,「(F)観光行動モデル構築」では,商業地区における歩行者の回遊行動モデルを参考とし,観光都市における歩行回遊行動のモデル構築を試みた.構築したモデルでは,都市観光における回遊行動において,回遊する時間制限の中で,“スケジューリング”が中核的な位置付けとなっており,それを整えるために観光情報が重要になっている. 以上のように,2018年度は,研究フィールドである小樽市において得た観光行動に関する映像データの分析を行い,その分析結果をもとに,観光都市内における観光回遊行動の基礎的なモデルを構築することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究では,研究計画で予定していた3項目のうち,以下の2項目に関して,順調に行うことができた.すなわち,「(E)観光空間との相互作用に着目した観光行動時の会話分析」では,観光場面における相互作用として,「観光スポット等での店舗従業員などとの会話」という相互作用により得られる情報を「受動的情報取得」という構成概念として案出することが出来た.また,「(F)観光行動モデル構築」では,商業地区における歩行者の回遊行動モデルを参考として,小樽市において得た観光行動に関する映像データの分析結果をもとに,観光都市内における観光回遊行動の基礎的なモデルを構築することが出来た.しかし,予定していた(C)「「人の流れデータ」に対するGIS 分析」に関しては,「(E)観光行動時の会話分析」に時間を要したため,次年度前半に行うこととした. 以上のように,2018年度の研究は,おおむね順調に推移し,次年度以降に向けた準備を進めることが出来たことから,上記の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,前半で「「人の流れデータ」に対するGIS 分析」を実施する.この分析で得られた結果をもとに「観光都市内における観光回遊行動の基礎的モデル」を補強する.また,次年度後半では,この「観光回遊行動の基礎的モデル」をもとに,マルチ・エージェント・シミュレーション分析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
全体計画上,購入を予定していた「人の流れデータ」に関する費用に関して,当初予定していた金額に比較して低く抑えることが出来たため,次年度使用額が生じた.この次年度使用額分は,2019年度に予定している「人の流れデータ」に対するGIS分析やマルチ・エージェント・シミュレーション実行環境構築の費用等に充当することを予定している.
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