2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02115
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福井 令恵 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (50724035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住民集団間関係 / 移行期社会 / 都市論 / 表象 / 紛争跡地ツアー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北アイルランドの紛争後社会の住民集団間(イギリス系とアイルランド系)の関係が、観光によってどのように変化したのかを明らかにし、<紛争後社会>における観光のあり方と可能性・課題を、コミュニティ関係の観点から示すことを目的とする。敵対関係にあった二つの住民集団間の直接的な相互作用と同時に、様々なアクター(政府・アーツカウンシル・住宅局・観光客など)の存在と相互作用により、紛争経験地域がどのような影響をうけ、その結果生じた地域コミュニティ間の相互関係の変容について、より包括的な枠組みから考察する。 プロジェクト2年目にあたる2018年度も、現地でのフィールド調査を継続して行い、いくつかの知見を得た。まず、東ベルファストのコミュニティセンター担当者へのインタビューから、ベルファストのイギリス系の労働者階級の住民のコミュニティとポーランド系移民のコミュニティとの間で交流が生まれていることが確認された。ポーランド系移民とアイルランド系住民との間の関係についてはすでにある程度知られているが、イギリス系住民との関係についてもあらたな動きがあることが、本調査により明らかになった。 また、イギリス系およびアイルランド系のそれぞれのコミュニティに存在する紛争関連ミュージアムの展示について調査し、当該地域出身者でもあるミュージアムスタッフへのインタビューを行った。厳しい対立関係にある/あった関係者についても、紛争経験の提示に関して、情報を互いに収集するなどの交流がみられた。 これまでに明らかになった内容について、研究会で報告をしフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観光に関する北アイルランド政府・行政の資料収集およびフィールドワークを予定通り実施した。現地調査により重要なコミュニティ活動の存在が明らかになり、今後は知人からその活動の中心人物を紹介してもらえる見込みが出ているなどの研究の展開があった。ただし2018年度は研究成果の公表については、これまで分かった点についての途中経過の報告という段階にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は引き続き調査を継続するとともに、理論的な考察を充実させる予定である。2018年度の調査の際に得られたプロジェクトのフォローアップも行いたい。 また、教科書執筆に参加する計画があり、多くの分野の方々と議論を深めながら研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
配分された研究費を効率的に活用し、少額の余剰金が発生した。次年度の旅費の一部に充当する予定である。
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