2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02115
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福井 令恵 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (50724035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住民集団間関係 / ブレグジット / 移行期社会 / 紛争跡地観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北アイルランドの紛争後社会の住民集団間(イギリス系とアイルランド系)の関係が、観光を通じどのように変化したのかを明らかにし、<紛争後社会>における観光のあり方と可能性・課題をコミュニティ関係の観点から示すことを目的としている。敵対関係にあった二つの住民集団間の直接的な相互作用だけでなく、様々なアクター(アイルランド・北アイルランド政府、観光客)の存在と相互作用によって、紛争経験地域がどのような影響をうけたのか。またその結果生じた地域コミュニティ間関係について、より包括的な枠組みから考察する。 2020年度は、コロナ禍のなか予定していた現地でのフィールド調査が不可能であったため、国内での文献収集と検討を行った。またインターネットで公開されている現地の資料を調査するとともに、SNS等を通じて現地住民から情報を得ることに努めた。 2019年度に実施したインタビュー調査において、イギリスのEU離脱後のイギリス・アイルランドの国境管理の問題が、北アイルランドのフィールド先の住民にとって、生活上非常に重要な関心事であることが明らかになったが、現地のインフォーマントからの情報では、現時点で調査地の住民間の関係に影響が出ている部分があるという。この点は重要だと考えられるので、引き続き注視していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の状況で現地への渡航が難しく、フィールド調査を行うことができなかった。そのため、ボーダースタディーズ、国際関係論、社会心理学を中心に文献を渉猟し、そうした分野での論点の把握を行った。また、2019年~2020年にかけて刊行された調査地の関連資料や大学の調査報告書(The Belfast Mobility Project, Image Project 他)などの読み込みを行った。 現地の状況の把握については、SNSやメールでインフォーマントとコンタクトを取り続けており、情報収集に努めた。 しかし、現地での調査ができなかったことにより、論文の完成に必要なデータを十分にそろえることが困難だった。したがって、「やや遅れている」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はもともとは海外フィールド調査を前提にしたものであるため、まずはフィールド調査を行うことを目指していく。しかしながら、2021年度も渡航が不可能であった場合も想定し、今年度は研究計画を柔軟に変更する必要があると考えている。 渡航が不可能であった場合は、紛争経験地域の課題について、行政の政策に焦点を当てた研究や、以前収集した文化活動に関するデータの分析で研究論文を発表するなどの方針変更を考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、現地でのフィールド調査を行うことができなかっため、助成金の繰り越しが発生した。2021年度は、フィールド調査が可能な場合は、主として旅費に使用する。フィールド調査が不可能な場合は、文献調査や画像分析を中心とした研究に変更するため、資料収集およびこれまで収集したデータの分析に必要な費用(書籍や、機材・ソフトウェアなどの購入)に充てる予定である。
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