2022 Fiscal Year Annual Research Report
Tourism and inter-group relations in Northern Ireland's post-conflict society
Project/Area Number |
17K02115
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福井 令恵 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (50724035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分断社会 / 住民集団関係 / 都市論 / 表象 / 紛争跡地ツアー / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北アイルランドの紛争後社会の住民集団間(UKの一員としてのアイデンティティを持つユニオニストと、アイルランド人としてのアイデンティティを持つナショナリスト)の関係が、観光を通じどのように変化したのかを明らかにし、<紛争後社会>における観光のあり方と可能性・課題をコミュニティ関係の観点から示すことを目的としている。敵対関係にあった二つの住民集団間の直接的な相互作用だけでなく、様々なアクター(アイルランド・北アイルランド政府、観光客)の存在と相互作用によって、紛争経験地域がどのような影響をうけたのか。またその結果生じた地域コミュニティ間関係について、より包括的な枠組みから考察する。 本プロジェクトの最終年度末の3月に、3年ぶりに現地調査を実施することができた。それにより、現地で進められている観光について新たなデータが入手できた。具体的には以下の2点である。 1)調査時に行われている紛争関連ツアーの資料を網羅的に収集した。これまで未調査だった実施者の異なる複数のウォーキングツアーに参加し、どの場所をめぐるのかルートの確認をし、紛争経験の語りや表象について調査をした。 2)イギリスのEUからの離脱、コロナ禍、エリザベス女王の即位70周年、エリザベス女王の死去という出来事などが、コミュニティでどのように受け止められているのか知るために、ベルファストの壁画の変化について調べ、データのアップデートを行った。 これらの現地調査で得た知見をもとに、今後研究発表を行う予定である。
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