2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02116
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
荒川 雅志 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (70423738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘルスツーリズム / ウェルネスツーリズム / 海洋療法 / 温泉療法 / 森林療法 / ヘルスケア |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューツーリズムとして現代に再登場を果たしたヘルスツーリズムは、観光分野のみならず国家戦略である次世代ヘルスケアとしての可能性と社会的期待が高まっている。一方、科学的根拠に基づく体系的整理や学術基盤は脆弱であることから、本研究では、①ヘルスツーリズムを構成する主要プログラムのエビデンステーブル構築、②国内先進地3箇所での特定保健指導型ヘルスツーリズムの介入研究を行い、ヘルスケア、保健指導効果の評価とともに日本型ヘルスツーリズムとしてモデル構築を行う。平成29年度は、ヘルスツーリズムエビデンステーブルの作成による基盤構築として、全国各地で取り組まれるヘルスツーリズムのタイプ分類225事例(ヘルスツーリズム研究所調べ)の上位で全体の8割を占める「温泉療法」、「森林療法」、「海洋療法」、「食事療法」を主体に構成したヘルスツーリズムの科学的根拠を得るため、システマティックレビューからエビデンステーブルを構築し医科学的根拠の基盤を構築した。 世界医学系文献データベース(PubMed)、国内文献情報CiNii、医学中央雑誌から、対象キーワードとして“ヘルスツーリズム”、“保養”、“転地を伴う療法”、“自然療法”(気候療法、地形療法、温泉療法、海洋療法)、健康増進プログラムについてリストアップの妥当性を検討したのち、疫学研究者複数名による批判的吟味、有効性に関する評価を実施した。対象は無作為、対照群を設定したRCT(Randomized Controlled Trial)研究、よくコントロールされた介入研究を抽出した。RCT研究は僅かであること、RCTではないが健康効果を検証した文献は散見された。保健政策のひとつとして保健指導型ヘルスツーリズムの確立に効果訴求の期待に応えられるヘルスツーリズムの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘルスツーリズムは観光形態のひとつであるが新しい健康増進策として期待のなかで医科学的知見に基づく区別、対象領域は曖昧な現状であった。ヘルスツーリズムの体系的整理のひとつに健康回復・維持を目的とする医療の関与度が高い旅行(高医療型)の方法論を整理していくうえで資料となり得る当該分野のエビデンステーブルを作成することができた。初年度予定した計画を達成している。海洋療法の分野でこれまで存在しない海洋深層水のエビデンスについて、エビデンス上位のRCT介入研究は1件のみであることが確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、平成30年度は29年度エビデンステーブル文献情報を基に、我が国地域特性、自然資源活用の特定保健指導準拠型ヘルスツーリズムプログラムを地域自治体、事業者との連携で作成、行動変容尺度、生活習慣病マーカーを軸とした効果評価を行う。主要プログラムは海洋療法を中心とし、これに食事療法(指導)、運動指導、観光が組み合わされたウェルネス滞在プログラムを開発する。旅行前と旅行1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後の行動変容調査による効果評価を行う。 平成31年度は平成30年度介入研究の後半フォロー期間の効果評価を遂行する。保健指導型ヘルスツーリズム実施群と年齢層、属性を合わせた対照群の1年後の行動変容調査、検診データ(生活習慣病基本マーカー)を収集し評価することで比較群をおいた介入研究としてエビデンスレベルを高める。宿泊滞在プログラムの被験者、従事スタッフ双方への満足度及び改善ポイントのヒアリング調査を実施し、モデル構築の検証および研究全体の総括を行う。
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Research Products
(1 results)