2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02122
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
山川 和彦 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (30364904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 久美子 宮崎大学, 語学教育センター, 教授 (60304044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多言語化 / インバウンド / 言語政策 / 観光地の発展 / 観光地のライフサイクル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は観光地の多言語化プロセスをバトラーの観光地ライフサイクル理論の援用から考察することである。研究の到達目標として①訪日外国人受入段階がどのようなタイミングであったのか、②訪日外国人対応と多言語化の進展、③多言語化が推進された後の状況変化を掲げた。 研究2年目においても、上記課題を軸として石垣市、北海道枝幸町・倶知安町、千葉県柏市、宮崎市において継続調査を行った。現時点で掌握したのは以下の点である。①石垣市においては従来から台湾人旅行者の受入を行っており、その上に欧米系の旅行者の微増があった。日本人旅行者の急増もあって、観光関連産業は活性化しているが、外国人よりも日本人でキャパオーバーに達している感がある。一方で、宿泊業における外国人材雇用が進展している。また外国人のレンタカー利用などで多言語対応が進展している。②倶知安町では外国人旅行者の国籍が多様化し、英語による対応に中国語が加わり、多言語化が見られる。一方で外国人旅行が進展するなかで「ニセコ=英語圏」というイメージが醸成されたために、日本人生活者を阻害するような傾向も見受けられる。③東京近郊の柏市では、社会風潮としてのインバウンドツーリズムを意識した市民活動が見られ、合わせて市民による地域資源の発掘と商品化の萌芽が観察できた。④宮崎市では台湾の大学とのコラボにより、旅行者の誘致を行う活動が定着しつつある。⑤一方でタイ人宿泊者で有名になった枝幸町では、新たな地域ブランディング化を模索しはじめている。 このように観光地は、その立地を踏まえて地域観光資源の生成が行われ、その中ではインバウンドが意識されている。また、IT技術による多言語サポートも観光に貢献しているが、その一方で定型化、つまり表層的なコミュニケーションはIT頼みという傾向が観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究においては研究代表者及び分担者がそれぞれのフィールドで適宜調査を進めてきた。それに関しては研究業績の概要に一部記載した。研究状況に関しては連携協力者と相談するなかで外国人との接触に関する理論的アドバイスなどを受けている。また特に柏市および都市コミュニティの発展に関する調査においては、研究協力者の協力を得た。 研究代表者と研究分担者は頻繁に連絡をとり、共同してフィールドワークを行ったり、学会発表をしたり、研究の効率化と成果報告に務めている。さらに研究成果に関しては国内のみならず国外の学会・研究会においても報告することを務めた。特にバンコクでは、現地大学と共同して学会の開催を企画した。 一方で、申請時においては2年目の調査地点として沖縄県宮古島市を予定していたが、調査日程の関係で実施できなかった。これに関しては3年目に補足する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の2年間においては、研究対象地それぞれの状況をフィールドワークにより確認していくことが主眼であった。3年目においては、2年目までの研究を補完する調査を行いつつ、研究の集約として、訪日外国人の増加に起因する地域変容、特に多言語事情に関してモデル化の可否について検討していく。 具体的には、倶知安町における「英語の観光資源化」と日本人のモビリティ研究から、超過するインバウンドと日本人社会のアレルギー的反応、台湾との関係がある石垣市における英語志向、柏市を例とした首都圏近郊都市におけるインバウンドと生活空間の多言語化。また、宮崎市のように過去において発展した観光地の再生とインバウンドの関係なども扱っていく。
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Causes of Carryover |
当初予算として想定していた謝金の支払い、およびデータなどの処理のためのアルバイト雇用が不要になった。研究データの処理に関しては次年度のアルバイト雇用が想定される。また、連携研究者、研究協力者の調査動向に伴う旅費も想定していたが、出費が予算額に達しなかった。以上の事由から次年度使用額が生じた。
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Research Products
(10 results)