2017 Fiscal Year Research-status Report
観光需要の季節変動をもたらす要因ならびに需要平準化政策の経済学的分析
Project/Area Number |
17K02127
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
薮田 雅弘 中央大学, 経済学部, 教授 (40148862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 千彦 明海大学, 経済学部, 准教授 (50433371)
森 朋也 山口大学, 教育学部, 講師 (30757638)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 観光の季節変動 / 観光政策 / 観光需要 / GINI係数 / インバウンド観光 / 観光関連産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
観光需要の季節性が問題になるのは、観光の供給面、すなわち観光経営に及ぼす影響である。地域観光の供給の担い手である宿泊業や飲食業、アトラクションなどについては、投資や資金運営、柔軟な雇用形態などの個別の対応と併せて、観光の差別化戦略や積極的に観光シーズンを延長させるための政府と一体となった施策が必要であることは言うまでもない。問題は、その原因が自然的要因、社会経済的要因など多岐にわたること、観光地の置かれた状況(地域観光資源の性質、観光関連の企業の行動や、住民、政府の関与ならびに発展戦略、さらに、観光市場の競争状況など)が様々であることなどによって、異なる個別の施策が必要となるという点である。 以上の点を踏まえ、本研究では観光需要の季節変動に着目して、その原因とそれがもたらす問題点、それらに対峙するための政策課題などを論じた先行研究に関してレビューを行なう。季節変動は、観光需要すなわち観光客数や観光収入の変動として把握することができき、変動係数やGINI係数が一般的に用いられる。平成29年度は、季節変動を把握する方法論に関して、新たにタイル指数にもとづくエントロピーの考え方を用いて実証を行ない、これを経済政策学会の国際会議(英語)で報告した。利用したデータは、都道府県相互間の季節変動を含む、観光庁の『宿泊旅行統計調査』各年度各月の参考第2表を用いて計算した。また、国際間の季節変動に関する基礎的研究として森、薮田を中心に研究をまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度についての目標は、観光需要と季節変動の把握に関する先行研究を整理すること、分析事例を解題した後で、数量分析のための基礎的研究を行うということであり、概ね月一回程度集まり、論点を整理し報告会を開催することができた。遠方の森先生とはSKYPEを用いた。この点については概ね遂行できたと考えており、平成30年度以降の研究につなげることができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
観光庁の『宿泊旅行統計調査』には、各都道府県間に加えてインバウンド観光客の都道府県別のデータが月別に提示されている。より長期間のデータをベースに、まず季節変動に実態を把握し、変動の実態を都道府県別に精査しデータ分析する。これをもとに、都道府県のアクセサビリティや観光魅力度、所得データ、気候データ、などのデータを整理し、季節変動を規定する要因を解析する。すでに、準備段階として日本の離島の観光を対象に、気候の季節変動に与える効果については、論文を観光しているが、今後は、都道府県ベースでの包括的な数量分析を行い、季節変動を緩和させる政策分析につなげていきたいと考えている。このため、月一回程度の研究会を継続し、学会、研究会などを活用して、論文などの研究成果をまとめていく計画である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額がプラスとなった理由は、国内の研究者との研究会を学会や研究会など他の研究費目(学内研究費など)を用いて行った際に、本研究課題についても時機を得て情報交換を行うなどして、旅費(国内1回分程度)を中心に支出が削減されたことによる。ただし、次年度などについては、より積極的な情報交換を行うために資金をより効果的に活用していきたいと考える。
|
Research Products
(5 results)