2021 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な訪日教育旅行誘致のためのプラットフォーム研究
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17K02138
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宍戸 学 日本大学, 国際関係学部, 教授 (00364290)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 訪日教育旅行 / 受け入れプラットフォーム / 持続可能性 / COVID-19 / オンライン交流 / 国際交流としての活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「訪日教育旅行」誘致の持続的な取り組みのための受け入れプラットフォームを構築し、それを周知することである。しかし、2019年12月に感染が拡大した新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)により、研究を延長している。COVID-19の感染拡大により、訪日教育旅行の中止が続き、再開の見通しは立たない状況にある。2020年度は、COVID-19が訪日教育旅行に及ぼした影響について、その概況を把握した。 そこで2021年度は、COVID-19の影響下で、各地域がどのような取り組みを行っているかを明らかにし、今後の対応策を検討した。その成果に基づき、学会発表等を行い、研究者及び訪日教育旅行関係者と議論を深めることが出来た。また教育旅行の専門誌に寄稿し、COVID-19の影響下にある教育旅行について問題提起をした。成果は以下の2点である。 (1)COVID-19の感染拡大の状況下で、訪日教育旅行の誘致活動を行っている3地域の取り組みを手がかりに、今後の展望を考察した。宍戸(2021)は、既存資料やアンケート調査により、訪日教育旅行の概況を明らかにしたものの、各地域の取り組みについて、詳細を把握することは出来なかった。そこで、訪日教育旅行に積極的に取り組む大阪府、奈良県、千葉県の取り組みについて調査を行い、コロナ禍での取り組みを明らかにした。 (2)各地域は、対面でのリアルな交流が出来ないため、オンラインによるWEB交流を主に行っていた。その実施経緯や方法、成果と課題を明らかにした。WEB交流は対面交流の代わりにはならないが、当面は代替の交流機会を提供し、今後の対面交流に活用できる成果をもたらしている。国際交流に取り組む学校もこのWEB交流に着目していた。今後の訪日教育旅行推進に向けて、コロナ禍で取り組むべき手法として参考にすべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、海外への移動を伴う訪日教育旅行は、宍戸(2021)によると2020年2月以降実施されておらず、そのため事例に対する調査研究が実施出来ない状況が続いている。また国内の移動も引き続き制限されており、取り組みを行う地域への訪問調査が出来ない状況が続いている。そこで、研究期間を延長し、2020年度はCOVID-19による訪日教育旅行に対する影響について把握した。各地域では、訪日教育旅行だけでなく、国内教育旅行や観光全般への影響も大きく、訪日教育旅行に対する取り組みを休止している地域が多く、調査研究は困難な状況が続いている。そこで2020年度の調査結果から、誘致活動を続ける地域を抽出し、オンラインでヒアリング調査を実施し、研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)の特例対応としてさらに研究延長が出来ることになったため、これまでの研究成果をまとめ、成果を発信することに注力する。延長期間においても、現在のCOVID-19の状況を踏まえると、訪日教育旅行が再開される見込みは非常に低い。しかし、これまでの研究成果から、訪日教育旅行の再開に向けて取り組みを行う地域の事例も散見され、これらの態勢や仕組みを参考に、目的としていた地域の態勢づくりとなるプラットフォームの検討は可能であると考える。そこで2022年度は、研究の最終年度と位置づけ、取り組みを行う地域への訪問調査と関係者とのディスカッションを通して、研究のまとめを行う。そして、積極的に訪日教育旅行の誘致継続に取り組む各地域の取り組みを参考に、訪日教育旅行再開に向けた取り組みの指針を示し、再開後の誘致活動に向けて議論し、研究成果をまとめ、受け入れプラットフォームを提示したい。その成果については、研究の総括として学会報告を行い、関連する専門誌に掲載するなどの方法も視野にいれ、関係者と連携する。これらの研究を通して、地域で訪日教育旅行再開後に、その誘致促進に向けて有効となる知見を示すことが出来ると考える。
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Causes of Carryover |
引き続き、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、調査出張や関係学会発表などがオンラインで開催となったことなどから、学外での諸活動経費が発生せずに、次年度に繰り越して使用する必要が生じた。また研究対象となる訪日教育旅行が行われない状況が続いているため、調査全般が滞っている。次年度は、オンラインで実施していた地域の調査を含め、現地調査を行うとともに、研究の最終まとめとして関係者との議論を行う機会(意見交換やシンポジウム等)を設定し、これらの経費を執行する。これらの訪日教育旅行に関する議論を公開し、学会報告や投稿、シンポジウム等を通して、関係者に広く周知する方法を探りたい。これらの諸経費として次年度に使用する。
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