2018 Fiscal Year Research-status Report
Dark Tourism as Media constructing Memories for Peaces in Asia
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17K02142
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
遠藤 英樹 立命館大学, 文学部, 教授 (00275348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 正己 立命館大学, 文学部, 教授 (60131603)
神田 孝治 立命館大学, 文学部, 教授 (90382019)
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80435172)
羽谷 沙織 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (10576151)
薬師寺 浩之 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (70647396)
韓 準祐 多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 専任講師 (00727472)
麻生 将 立命館大学, 文学部, 助教 (00707771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ツーリズム / ダークネス / モビリティーズ / 平和の記憶 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
「ダークツーリズム」とは、戦争、テロ、貧困、差別、災害、政治的弾圧、公害、事故等に関係する、死や苦しみと結びついた場所を旅する行為を言う。では 「ダークツーリズム」は、何を、 いかにして、誰にとって、どのような状況のもとで、何のために、「社会のダークネス」として構築・伝達するのか。そして、「社会のダークネス」との関連で、人々のどのような「感情」をいかに発動・伝達・増幅させ、その感情をどういった社会的コンテクストへ結びつけていくのか。そうしたプロセスの中で、“死”や“苦しみ”をめぐり、現代社会が見えなくさせてしまうものは何か。以上のことを問い、日本を含めたアジアにおける 平和の記憶を紡ぐメディアとしての観光のあり方を模索することが、本研究課題の目的である。 それゆえ本課題では次の3点に的をしぼって、ダークツーリズムを研究している。それは、①観光のかたちをとって構築される「社会のダークネス」とは何か、②ダークツーリズムを通じていかなる感情が社会的に発動・伝達・増幅されるのか、③現代社会において抑圧された「死の欲動」が現代社会へと回帰してくるにあたって観光はどのような役割を果たしているのか、といったことである。 この研究課題を達成するための研究活動は、大きく5つに分けることができる。それは、①研究会、②フィールド調査、③シンポジウム・講演会・ワークショップ、 ④学会報告、⑤研究成果の出版である。 2018(平成30)年度においては、国内外のフィールド調査を実施し、研究会において調査研究の成果について相互に発表を行なうとともに、これら発表内容をベースとして、論文を発表した。また理論研究・調査研究の推進を目的に、8月に国際カンファレンスを開催するとともに、サウス・オーストラリア大学からアンソニー・エリオット氏を招聘し、講演会及び共同研究メンバーによる意見交換会を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の研究活動は大きく5つに分けることができる。それは、①研究会、②フィールド調査、③シンポジウム・講演会・ワークショップ、 ④学会報告、⑤研究成果の出版である。 2018(平成30)年度においては、国内外のフィールド調査を実施し、これをもとに研究会において調査研究の成果について発表を行なった(一例としては、薬師寺浩之氏(奈良県立大学地域創造学部)が「銃射撃体験というダークツーリズム経験に関する考察――カンボジアの事例を中心に」や、羽谷沙織氏(立命館大学国際教育推進機構)が「伝統の継承者は誰か――カンボジアのゲイ古典舞踊団が担う伝統、逸脱、観光」と題して行った研究報告が挙げられる)。また発表内容をベースに、立命館大学人文科学研究所紀要において、「『龍』のように奔出する<新たなアジア>と<新たなツーリズム>」と銘打ち特集が企画され、藤巻正己氏「チャイナタウンはもはや “ チャイナタウン ” ではない!“ 外国人労働者の街 ” だ!――クアラルンプルの<ツーリズムスケープ>瞥見」をはじめとする諸論稿が公刊された。 さらに理論研究・調査研究の推進を目的に、8月にアジア各地から研究者を招聘し国際カンファレンスを開催するとともに、サウス・オーストラリア大学からアンソニー・エリオット氏を招聘し、講演会及び共同研究メンバーによる意見交換会を行った。ただし、これらの国際カンファレンスや海外からの研究者を招聘した講演会は、立命館大学人文科学研究所との共催で行われ同研究所予算で支出された部分もあり、その点で繰り越しとなった予算が生じている。 しかしながら内容面においてみると、2018(平成30)年度は昨年度の2017(平成29)年度と比較しても、十分に積極的な研究活動を展開できており、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019(平成31)年度は、前年度に不可避な理由でどうしても実施することができなかった一部のフィールド調査を実施する。それとともに、①研究会、②シンポジウム・講演会・ワークショップを行う(具体的には現在、8月にマレーシアから研究者を招聘し国際シンポジウムを計画中である。また1月にも海外から研究者を招聘し講演会と国際シンポジウムを開催し、最終成果を議論する場としたい)。 また各メンバーが③学会報告を積極的に行うことはもちろん、「ポリフォニック・ツーリズム(多声的な観光)」というタイトルで、④最終成果報告書をまとめる計画である。この最終成果報告書の執筆要領は、すでに全メンバー間で共有済である。この報告書では、アジア世界の様々な場所(被災地、戦争の場所、歓楽街、闇市、スクウォッター地区、バラック街等も含めて)の中で、人々がダイバーシティを有しつつ、様々な国・文化・民族・性等を背景に、いかにしたたかにグローバルな世界を生き抜いているのかを明らかにしようと考えており、本研究に基礎づけられた研究の発展が模索されることになる。他にも海外出版社とも英語書籍の出版契約をすでに結んでおり、そこにおいても研究成果を積極的に公表できると考えられる。
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Causes of Carryover |
昨年度2018(平成30)年度の国際カンファレンスや海外からの研究者を招聘した講演会は、当初、科学研究費の予算のみで開催する予定にしていたが、当初予定していなかった立命館大学人文科学研究所との共催で行われることになり、同研究所予算で支出された部分がかなりの程度あった。また不可避な理由で、当該年度においてフィールド調査ができなかったメンバーが一人いた。これらのために次年度使用額が発生したが、研究内容において必要である国際シンポジウムを今年度開催することにしており、問題なく計画的に使用していける。またフィールド調査についても今年度早期に実施することとなっている。
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