2017 Fiscal Year Research-status Report
現象学的方法による観光の倫理的問題の明確化―観光倫理学の構築にむけて
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17K02145
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| Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
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Principal Investigator |
紀平 知樹 兵庫医療大学, 共通教育センター, 教授 (70346154)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 観光 / 現象学 / 倫理 / 開発 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は本研究課題の初年度であり、まずは基本的な文献研究と今後本研究を進めて行くにあたって、キーパーソンとなりうる方たちへのインタビューを行った。そして、そうした調査に基づいて、どのような問題を考察すべきかを明らかにすることに努めた。
文献研究においては、観光経験を分析するための方法としての現象学に関する論文のサーヴェイを行った。観光に関する現象学研究でも、看護学研究などの分野と同じように、フッサールの現象学とハイデガーの解釈学的現象学という二つの現象学のどちらを研究方法として用いるべきかという議論が行われていることを確認した。いずれの方法を用いるべきかという問題は、観光経験の何を明らかにすべきかということとあわせて、やはり研究方法としてのフッサールの現象学とハイデガーの解釈学的現象学の特質を明確にしなければならない。
インタビュー調査については、平成29年度は2名の方へのインタビューを行った。2名の方はいずれも、沖縄以外から沖縄へ移住された方であり、長年エコツアーのガイドとして働いている一方で、環境教育に積極的に取り組んでいたり、地域の特質を活かした物品の生産、販売を行っている。両者へのインタビューを通して、観光地としての場所がもっている資源をどのように活かしていくべきなのか、また、ツアーガイドとして観光客に対してどのような気づかいをしているのか、またそれと同時に自然に対してどのような配慮を行っているのかを聞き取ることができた。こうしたインタビューを通して、観光という経験が、単に観光客の個人的な行動によって成立するものではなく、むしろそうした経験が多様な要素によって成り立っていることが明らかになった。こうした複合的な経験をつまびらかに記述していくことが次の課題となる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象学的方法を用いた観光研究に関するサーベイは一定程度終了したといえるので、文献研究の面では、研究はおおむね順調に進展しているといえる。またインタビュー調査についても、当初予定していたインタビューを行うことができたので、この点についても研究は順調に進展しているといえるだろう。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、まず文献研究の面でさらに観光に関する現象学研究の文献サーベイを継続的に行う。それに加えて、欧米ではすでに一定程度確立している観光倫理学に関する文献研究を平成30年度は開始する。特にそこで明確にすべき課題は、観光倫理学という研究領域にどのようなトピックが存在するかを明らかにすることである。そしてそれぞれのトピックにどのような議論があるのかを明確にしていくことが必要である。
次にフィールド調査については引き続きインタビュー調査を行っていくことが必要である。平成29年度はツアーガイドへのインタビューであった。ガイドの方に対するインタビューも引き続き行っていく必要があるが、さらに観光客を受け入れる地元住民の意識調査も必要である。また観光経験の分析を行うためには、観光客に対するインタビューが必要である。こうしたフィールド調査を通じて、観光という現象について、現在どのような問題が起こってきているかを明確にしていくことが平成30年度の課題となる。そうした問題が観光倫理学のどのようなトピックに該当するのかも併せて検討を進めていく。
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| Causes of Carryover |
当初必要としていた文献については、本学図書館の相互利用制度を使い入手することができたため費用を抑えることができたことと、その反面、購入を予定していた図書の発注が遅れてたことにより今年度に購入できず、未使用額が生じた。また旅費については、参加予定の学会の多くが関西近隣で行われており、計画よりも少ない旅費で学会に参加でき、未使用額が生じた。平成30年度については、これまで着手していなかった観光倫理学に関する文献研究を本格的に行うので、図書の購入を積極的にすすめ、またインタビュー回数も増やすことによって、厚みのある現象学的記述を可能にするために、次年度使用額と平成30年度分として請求した助成金を合わせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
