2022 Fiscal Year Annual Research Report
Clarifying ethical issues in tourism through phenomenological methods: Towards an Ethics of Tourism
Project/Area Number |
17K02145
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
紀平 知樹 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (70346154)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観光倫理 / 応用倫理 / ポスト現象学 / 全体と部分 / 本質直観 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は二つある。、一つには観光倫理学がどのようなものとして成立するかについて、三つの可能性を提示したことが挙げられる。一つは観光をなす様々な行為が社会の倫理から逸脱している場合に、その行為を矯正し社会の倫理に沿うようにするための倫理である。二つ目の可能性は、これまでの観光研究のあり方を引き継ぎ、観光化した社会における倫理を模索するという方向性である。これは観光のエートスを明らかにするための倫理学であるといえる。三つ目の可能性は、第二のものと重なる面もあるが、従来は人の行為に焦点を合わせてきたが、その行為がモノによって媒介されているということを考えるなら、そうした媒介された行為としての観光を倫理的に捉える必要がある。そのために、アクターネットワーク理論やポスト現象学の手法を用いた観光倫理の構築が考えられる。 二つ目の研究成果としては、観光を現象学的に考察するための方法に関するものである。現象学が質的研究の方法として用いられている場合、米国の現象学的心理学者A・ジオルジの方法がその代表的なものの一つして用いられている。日本でも看護学研究をはじめとして、ジオルジの名前が挙げられることが多い。しかし、彼の方法を用いた研究を見ると、明らかにしようとするものが、一義的ではない。そこでもとのテキストに戻り、ジオルジが彼の方法で何を明らかにしようとしているのかを明確に示した。それは経験の構造であり、それを明らかにするためには、フッサールの全体と部分の理論と想像変容による本質直観の理論に関する理解が必要であることを示した。 研究期間全体を通して、現象学によって観光経験を分析するための足場を形成することができた。すなわちフッサールの意志の現象学が観光経験の分析にも適用できることを示した。またポスト現象学の観点から媒介された経験としての観光経験の分析の可能性を示すこともできた。
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Research Products
(2 results)