2017 Fiscal Year Research-status Report
被害の階層性を踏まえた災害復興における観光地マネジメントに関する理論・実証的研究
Project/Area Number |
17K02148
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
室岡 祐司 九州産業大学, 商学部, 講師 (50615359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 博明 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光文化研究部、観光研究情報室), 観光政策研究部, 主任研究員 (20796388)
横山 秀司 九州産業大学, 経済・ビジネス研究科, フェロー教授 (60240222)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 災害復興 / 復興特需 / 九州ふっこう割 / 観光地マネジメント / 観光マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
災害復興における観光地のマネジメントシステムを明らかにしていくために、熊本地震により直接・間接・風評被害を受けた観光地の復興状況について、地域側、市場側、地域と市場をつなぐ中間組織側の3つの観点から調査を行った。 横山は、熊本地震から約1年半が経過した間の観光インフラ、旅館・ホテルなどの復興状況、観光者の動向などについて主に以下の3つの観点を明らかにした。①九州観光にとって重要な阿蘇地域の道路・鉄道の復旧が遅れていることが、阿蘇観光のみならず九州全体の復興に少なからず影響を与えていた。②阿蘇地域を中心に営業の再開のできていない宿泊施設が熊本県内で17軒あった。③「九州ふっこう割」や「復興特需」により宿泊者増に繋がった県もあったが、長崎県や鹿児島県は修学旅行者の行き先変更などにより回復が遅れていた。 牧野は、熊本地震の被災地である熊本県・大分県の主要温泉地での現地調査(ヒアリング調査)を実施し、家屋・道路・鉄道等の復旧状況や観光客の動向等について把握を行った。また、地震発生に伴う旅行者の動向(2016年度の九州旅行の実施や変更の有無、それに影響を与えた様々な要因、実施した旅行の内容、2017年度における九州への旅行実施予定など)について、首都圏・中京圏・関西圏・九州圏(沖縄を除く)を対象とする意向調査(webアンケート調査)を実施した。この結果をもとに、リスク認知と九州旅行実施との関連、リスク認知と旅行者属性との関連、九州旅行実施(リスク認知あり)とその影響要因について分析を行った。 室岡は、国の震災復興支援策として初めて導入された観光旅行による需要喚起策「九州ふっこう割」について、その推進役となった九州観光推進機構と連携する各県および旅行業者が果たした役割や機能について、ヒアリング調査をもとに明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画初年度に示した熊本・大分県の主要温泉観光地へのヒアリング調査、市場側へのwebアンケート調査、中間組織として九州観光推進機構や旅行業者へのヒアリング調査を行い、その研究成果を日本観光研究学会全国大会にて報告が出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
災害復興における観光地のマーケティング・マネジメントについて明らかにしていくために、研究計画2年目に示した国内外の事例調査と海外マーケットへ対する意識調査に取り組む。 事例調査については、まず東北地方にて東日本大震災後の観光の状況について調査する。さらに海外調査については、スマトラ島沖地震からの復興への対応についてタイ・プーケット島を調査する。海外マーケット調査については、地震の少ない韓国と地震の多い台湾においてwebアンケート調査を行い、比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
手持ちの資料で研究を進めることができたため、書籍購入費等を使用しなかった。次年度においては、29年度に使用しなかった書籍購入費を含め、マーケット調査、海外事例調査、国内事例調査等にかかる費用に充てたい。
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