2018 Fiscal Year Research-status Report
長崎の原爆関連遺構・場所に関する再考とツーリズムのための計画学的再構
Project/Area Number |
17K02149
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
李 桓 長崎総合科学大学, 工学研究科, 准教授 (30341556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 原爆関連遺構 / 被爆建造物等 / 被爆構造物 / 被爆樹木 / 長崎 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はまず、被爆建造物の一つである旧長崎県庁舎第3別館(旧長崎警察署)について調査と保存計画に時間を費やし、研究発表、市民講座を行い、学生の研究指導にも取り組んだ。この建物は長崎県庁の移転に伴い、取り壊しの立場にあり、行政や市民を含め、より広い理解を得なければならないという緊急性があったから、重点作業の一つとなった。該当建物はこれまでの長崎市の被爆建造物等についてのランク付け(A、B、C、D)において、Dランクに付けられており、保存の必要性は低い立場にある。しかし、この建物の歩んできた歴史、市街地における立地状況、原爆当時の市内の被災状況を示す物証などの側面から考察すると、行政によるランク付け以上の保存の意義がある。研究ではこれらを通して明らかにし、保存と利用のあり方などについて提案した。 被爆建造物等についての調査は平成30年度においても行ってきた。平成29年度の継続作業として、今年度は主に被爆構造物、被爆樹木などについて調査し、評価を行ってきた。調査作業自体はまだ完了していないため、令和元年の前半において調査を続く予定である。この調査は、被爆建造物等の最新の状況を記録しており、今後の評価と計画的な保存・利用の基礎資料を作成する。作業の中で、過去、原爆50周年の時にまとめられた被爆建造物等のリストに含まれていないものをも新たに発見し、今後のリストアップになるように取り組んでいるところである。 また、原爆50周年の時の調査の背景や、ランク付けの根拠などについても再検討をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学教育において、担当科目数が増える状況にあるうえ、平成30年度は学生の海外研修(建築学海外研修)の引率にあたり、年度前半はそれの準備のために多くの時間を費やした。 また、研究実績概要でも触れたように、旧長崎県庁第3別館の保存の緊急性が上がってきたため、その調査研究についても多くの時間を配分した。 よって、初期の研究計画に予定していた広い視点での「空間資源」と「景観資源」についての調査と評価作業はまだ十分に着手できていない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年の夏までに被爆構造物と被爆樹木についての調査と評価を完了する。年度後半は被爆の記憶としての「空間資源」について調査し、評価を行う。現状や実態の調査は重要な基礎であるため、この作業をしっかり遂行していく予定である。 教育においては、学生の卒業研究指導において、被爆建造物等を対象とした町歩きと平和学習(長崎では「さるく」という)のコース計画の内容を取り組み、研究効果を上げようとしている。これを通して、観光学への応用を実験的に検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた調査(海外調査を含む)が遅れ、該当年度内での使用ができず、次年度にずれていることによる。
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Research Products
(5 results)