2019 Fiscal Year Research-status Report
Logic and mathematics in East Asian philosophy
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17K02155
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
朝倉 友海 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30572226)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東アジア哲学 / 論理 / 形而上学 / 数理 |
Outline of Annual Research Achievements |
三年目である平成三一年・令和一年度は、研究代表者の朝倉が、引き続きこの研究に必要となる先行する学術的成果の検討を進めると同時に、研究の進展によってもたらされた成果を複数の口頭発表・論文公刊により公表することを積極的に進めた。 まず、西田・田辺・牟宗三に共通に見られる数理思想を明確化するなかでもたらされた成果を、田辺に焦点をしぼってまとめ論文として公刊した(「田辺元の複素関数論」、なお公刊の日付が前年度に遡るため本年度の業績には入れていない)。田辺元による数理思想の最終形態を示している複素関数論をめぐる考察がもつ哲学的意義についての研究成果であるが、研究遂行のなかで中途から生じてきたところの、二〇世紀大陸哲学の枠組みの見直しという課題とも深く関係している。 つぎに、一昨年度来進めてきた、二〇世紀の大陸哲学の中に分析哲学との交渉を探るという方向での研究成果の一部を、論文として公刊した(「意味理論の別の可能性:ドゥルーズと可能世界意味論の交錯」)。これは直接には東アジア哲学と関係しないものの、いわゆる大陸哲学の一部には論理思想の観点から分析系の議論と突き合わせて検討されるべき内容が豊富に含まれていることを示したものであり、近年とりわけ英語圏で進められている研究方向と軌を一にするものである。 最後に、長年その刊行へ向けての努力が続けられてきた英語論文集(The Dao Companion to Japanese Buddhist Philosophy)が当該年度に出版され、その中の一章として、近代日本の哲学のなかに見出される仏教的伝統と儒教的伝統との対立をめぐる論考を担当した。論文集の性質上、表立って論理・数理に論及してはいないが、本研究と関係する内容を一部含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人で進める研究内容の進捗はおおむね順調に進展している。また、以前よりあった計画がかたちを変えて実現する見込みがたつなど、令和二年度の研究交流や研究発表の予定も立て直しつつある。ただし、平成三一年・令和一年度には、次年度に所属先が変わる予定となったため、校務上および時間上の制約により、研究計画および予算執行が、当初の予定通りには進まなかった。さらに、新型コロナウィルスの蔓延による社会的な制約が加わり、海外の研究者との研究交流を重視する本研究課題においては、研究計画の見直しを余儀なくされつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の予定である令和二年度は、東アジア哲学を論理と数理への関心のもとに再考する作業を、国際的な共同研究による国際会議の開催・参加を通じて進める予定であった。しかし、新型コロナウィルスの蔓延によってすでに中止を余儀なくされており、今のところ開催予定のものも今後どうなるか不透明である。執筆による成果発表の場をなんとか確保することで代えて成果の公開を積極的に進めていきたい。今後の状況によっては、研究期間の一年延長を申請することも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
所属機関変更への対処、および新型コロナウィルス流行に伴って、物品費・旅費・人件費のすべてにわたって、予算の執行を次年度に見合わせる必要が生じたため。
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Research Products
(8 results)