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2020 Fiscal Year Research-status Report

Bergson's Modal Metaphysics

Research Project

Project/Area Number 17K02158
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

村山 達也  東北大学, 文学研究科, 准教授 (50596161)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywordsベルクソン / フランス哲学 / 様相概念
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、主に三つの観点から研究を行なった。
第一は、昨年度からの継続である。すなわち、イギリスで出版される英文論集の編者から依頼を受けて、昨年度に寄稿した、ベルクソンにおける潜在性と可能性とを論じた論文について、編者からの指摘を受け、各所に改稿を施した。とりわけドゥルーズ解釈と、論証の明確な提示とについて、大幅な改善を施すことができた。この件については、私の側での実質的な作業はおおよそ終了しており、編者からも、今夏には出版予定であるとの連絡を受けている。
第二には、ベルクソン哲学の全体像を提示する、ややアドバンストな入門書の編著作業を進めた。ここでは、可能性や潜在性といった様相概念についても論じる予定である。哲学的な観点に加えて、歴史的な観点も盛り込んだ、従来にない充実した内容のものとして、国際的にも類のないものである。これについては、現在も順調に執筆を進めており、このまま進めば、今年度中には出版できる予定である。
第三に、ベルクソン『物質と記憶』におけるイマージュ概念と必然性との関係を論じた論文を執筆中である。
今年度は、いくつかのワークショップや講演、セミナーの予定が中止になるなど、研究計画に大幅な変更が生じ、調整に手間取ってしまった。また、未公刊の論文の修正と、未完成の編著と論文との執筆作業とが、今年度の作業の大きな割合を占めたため、研究計画にも滞りが生じている。そのため、本来であれば2020年度までであった本科研を、2021年度まで延長することとした。
ただし、その時間的遅れを差し引けば、全体としては研究は順調に進展している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ワークショップや講演が中止になったり、予定していなかった改稿作業が入ったりするなど、さまざまな理由で遅延が生じている。そのため、研究計画を一年間延長することとした。そのことによって、総体としては、当初予定していたとおりの成果を上げることが予定されている。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、大きく分けて、三つの作業を予定している。
第一には、上記の、ベルクソン哲学の総合的な入門書の編著作業を進める。この執筆において、ベルクソンの様相概念についてある程度論じる必要が出てくるだけではなく、ベルクソンの自由概念とさまざまな様相概念との繋がりなどについても考察する必要が生じるため、研究全体を推進するうえでも有益なフィードバックが期待される。
第二には、これも上記の、イマージュ概念についての論文の執筆である。ベルクソンはイマージュ概念を正当化する過程で必然性に幾度となく訴える。これがどのような種類の必然性であり、その訴えは本当に概念の正当化に役立っているのかということについて、集中した考察を行なうことになる。この作業をつうじて、ベルクソンの様相概念を、ただそれだけで抽象化した仕方で取り出すのではなく、実際に議論において用いられている姿において把握することが可能になる。
第三には、いま述べた二つの作業を踏まえたうえでの、ベルクソンの自由論についての発表と論文執筆である。発表については、7月末に国際ワークショップで発表することが決定している。ベルクソンは、その自由論を提示するにあたって、可能性概念を批判すると同時に、ある種の必然性を帯びるような行為について論じてもいる。その可能性批判の内実と、必然性概念の明確化が、主な作業となる。
以上によって、可能性、潜在性、必然性という、ベルクソン哲学における主要な三つの様相概念について論じることができたということになる。

Causes of Carryover

海外でのワークショップやセミナーへの出席が中止になり、旅費や英文校正費を用いないことになったため。今年度は英語発表や英語論文執筆の予定が複数あるので、書籍、資料整理人件費のほかに、英文校正費として使用する予定である。

URL: 

Published: 2021-12-27  

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