2017 Fiscal Year Research-status Report
Philosophical Inquiry into the Semantics of Picturial Images
Project/Area Number |
17K02159
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清塚 邦彦 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40292396)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 描写 / 画像 / 表象 / 内容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は画像の描写機能の理論的究明であり、ウォルハイムが提起した絵画知覚の二面性という事実に注目しつつ、その本性についてウォルトン流のメイクビリーブ理論がどのような補完を必要とするかを見極める点を課題としている。絵を見る経験が、平面を見る経験でありながら同時に多様な具象的事物を見る経験でもあるという二面性の事実は疑いないように思われるが、それがいかにして可能であるかについて、果たして「あたかも~を見ているかのような想像」を持ち出すウォルトンの着想だけで足りるのかどうか、という点が基本的な問題状況であり、この「かのような想像」への言及が有効に働くためには、その知覚的動機づけについて更に踏み込んだ洞察が必要だというのが本研究の見通しである。 この課題に向けて、平成29年度には、ウォルトン流のメイクビリーブの動機づけとなっているような知覚的基盤を明らかにするため、シアーやロペスの認知説や、ピーコックやホプキンスらの類似説について展望し、批判的検討を行った。検討作業はなお続行中である。 以上の本筋に加えて、平成29年度の研究では、当初予定では平成30~平成31年度に予定されていた「画像表象の内容」の概念について、先取り的に検討を行うこととなった。これは、表象概念についての包括的な解明を目指した拙著『フィクションの哲学』の改訂版を出版するにあたり、その最終章として、画像も含めた表象の内容という概念と関わる議論を新たに書き下ろすことが必要となったためである。そこでは、絵の内容を現実世界に関する通念に照らして理解するという側面と、絵それ自体の多様な(時としてグロテスクな)見え方を素直にたどるという側面とを、いずれも表象内容の不可欠の要素として受け入れるべきことを主張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初からの検討課題として想定していたシアーやロペスの認知説や、ピーコックやホプキンスらの類似説についての検討はおおむね想定通りに進捗している。 加えて、画像の表象内容についての理論的検討は翌年度の予定を先取りして実施したもので、その部分については想定以上の進捗が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究実施計画として当初予定していたのは、画像表象の内容(描写内容)という概念に関する理論的究明であり、特に、ロバート・ホプキンスが「分離」と呼んだ、絵の一見奇妙な見え方にまつわる問題の究明である。とはいえ、これについては平成29年度の研究の中で先取り的に取り組むこととなった。そこで、代替プランとして、平成30年度はむしろ、次の2点に焦点を絞った研究を行いたいと考えている。 (1)平成29年度の当初計画に盛り込まれていた課題の継続。具体的には、描写に関するウォルトンのメイクビリーブ理論を補完すべき、メイクビリーブの知覚的基盤に関する検討。この関連では、F・シアー、D・ロペスらの認知説、ならびにC・ピーコック、R・ホプキンスらの類似説の検討が重要になると考えている。 (2)平成29年度における研究の中で浮上してきた新たな検討課題との継続的な取り組み。具体的には、画像の存在論に関する問題状況を整理・展望しつつ、それが画像による描写にどのような形で連携するかの究明。この関連では、ウォルハイム、グッドマン、ウォルターストーフらの議論以後今日に至る論争状況をまずは整理する必要があると予想している。 以上の点の検討を踏まえ、最終年度の平成31年度においては、言語哲学・意味論の観点からする考察をも交えて、表象内容の概念に関する包括的な理論的展望を明確化したい。
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Causes of Carryover |
残額が微額であるため、研究図書購入等でのより有効な活用のため次年度使用に当てることとした。
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Research Products
(1 results)