2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing a methodology for a phenomenological approach to applied ethics
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17K02178
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フッサール / 観念論 / 改造 / 完成主義 / マードック / カヴェル / 環境 / 企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現象学的倫理学を背景とした応用倫理学へのアプローチの可能性を明らかにすることを目的としている。とりわけ、現象学的アプローチが、公平な観察者ではなく、ある種の偏りに根ざした視点から「道徳判断」を扱うことを明らかにした。また、従来の応用倫理学と現象学的倫理学とでは、具体的事例の検討方法が異なることも指摘することができた。前者では、事例は議論におけるテーゼをサポートしたり、反証したりするものであるのに対して、後者では、人やその経験がそれ自体で理論の枠組みを揺るがすものとして位置付けられる。 具体的な成果としては、文学などの芸術作品を手掛かりとする倫理学的思考の可能性を「倫理学における芸術作品の使用と想像力の問題」(日本倫理学会共通課題提題「想像力と倫理」提題)において明らかにした。また、「Husserl's Idearism in the Kaizo Artickls」(The Palgrave Handbook of German Idealism and Phenomenology)では、フッサールの超越論的観念論における道徳哲学が、現代の道徳的完成主義の系譜(I.マードック、S.カヴェル) に通じるものであること明らかにした。さらには、「」(社会思想史学会第45回大会・セッション「公害・技術・抵抗:民衆の思想と技術者の倫理」提題)では、観光倫理や企業倫理の問題を、人の生き方から考察することができた。
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Research Products
(3 results)