2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘレニズム・ローマ期の地理的辺境におけるプラトン主義宇宙論の受容と再生産
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17K02182
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
金澤 修 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (60524296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 文典 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50506144)
小島 和男 学習院大学, 文学部, 准教授 (80383545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラトン対話篇 / 中期プラトン主義 / 新プラトン主義 / ヘレニズム思想 / アプレイウス / 擬アリストテレス / アレクサンドリア / プロティノス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度より平成31年度に亘る本研究のうち、平成29年度は初年度であり、研究全体から見れば、基礎研究を行う年度である。以下では1)研究代表者・金澤修、2)研究分担者・小島和男および宮崎文典が行った研究実績の概要を記す。1) 研究代表者は、以下の論文と書評を執筆した。「VI-1(42)-VI-3(44)「有るものの類について1-3」――幾何学対象の成立に関わる箇所を中心にして――」(『新プラトン主義研究』第16号2018年3月発行)では、本研究の課題との関係において、宇宙の原型である知性界の構造を考察した。その限りでプラトン主義宇宙論の解明に基礎的な観点を与えるものである。さらにJohan C. Thom 編集によるCosmic Order and Divine Power: Pseudo-Aristotle, On the Cosmosの書評を行なった(『西洋古典学研究』第66号2018年3月発行)。同書は、本研究の中心的課題である、ヘレニズム時代の宇宙論を示す擬アリストテレス『宇宙について』の最新研究であり、同書所収の製作年代に関する論文は本研究課題に重大な示唆を与えた。2) 研究分担者・小島和男および宮崎文典は以下の研究を行なった。小島和男は論文「アプレイウスによる哲学のすすめ」(『ギリシャ哲学セミナー論集』Vol. XIV)。宮崎文典は書評「公私の混合/二分法/調和――栗原裕次『プラトンの公と私』の公私論概観」(『ペディラヴィウム』72)、さらにモーリス・メルロポンティ『メルロ=ポンティ哲学者事典 第一巻』加賀野井秀一・伊藤泰雄・本郷均・加國尚志(監訳)の辞典項目「ソクラテス以前の哲学者たち」および「プラトン」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたが、2017年度(平成29年度)より三年度2019年度(平成31年度)に亘る計画である本研究のうち、2017年度(平成29年度)年度は初年度である。従って、研究計画全体から見れば、今後の成果を出すための基礎研究に当たる年度であり、単年度での目に見える実績は多いとは言えない。しかしながら、2017年度(平成29年度)の研究成果とその内容を見る限り、研究代表者・金澤修、研究分担者・小島和男および宮崎文典は最終年度に向けてのテキスト読解及び最新資料の検討など、基礎的ではあるが重要な研究を行なっており、その限りでは現時点での研究進捗状況は「おおむね順調」であると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度(平成30年度)は、本科研研究の全体的な視点から言えば2年度目にあたり、研究代表者及び研究分担者2名が本研究の最終年度である2019年度での成果報告を視野に入れ、それぞれが担当する課題について昨年度からの研究を引き続き行う状況にあり、この方針に変更はない。具体的に言えば、研究代表者・金澤修は本科研課題に関連した課題の研究発表を複数の学会で行い、それに基づいて少なくとも一本の論文を作成する予定である。また研究分担者も引き続き関連テキストの読解及び最新資料の検討など、本課題が関わる分野の研究について昨年度通り順当に研究を推進していく予定である。これらの成果は、本研究の最終年度である2019年度に催す研究発表会で公開される予定であり、またそれ以外の成果は研究論文等の形で発表される予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者及び研究分担者が出席する学会が、居住地域に近かったため、旅費及び宿泊費など主張旅費が不要であったため。またコンピュータを購入する予定であったが、OSの選定に関して遅れが生じたため。使用計画としては、計画通りコンピューターを購入することになる。
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Research Products
(5 results)