2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘレニズム・ローマ期の地理的辺境におけるプラトン主義宇宙論の受容と再生産
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17K02182
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
金澤 修 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (60524296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 文典 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50506144)
小島 和男 学習院大学, 文学部, 准教授 (80383545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中期プラトン主義 / プラトン対話篇 / 新プラトン主義 / ヘレニズム思想 / アプレイウス / アレクサンドリア / プロティノス / 擬アリストテレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では平成30年度は二年目にあたり、一方では初年度の基礎研究を引き継ぎつつ、他方、最終年度に研究成果を上げるための移行期である。以下では1)研究代表者・金澤修、2)研究分担者・小島和男および宮崎文典が行った研究実績の概要を記す。1) 研究代表者は以下の論文と研究書の3本を執筆した。A「仕掛けとしての比喩、イメージとしての光 プロティノスの魂論の理解のために」、B「アショーカ王カンダハル碑文におけるアクラシア概念」、C「古代原子論」。Aは、宇宙と身体との関係についてプラトン以来の読解を巡って、プロティノスを中心に宇宙論ではヌメニオス、アルキノオス、アプレイウスと、心身論でガレノスとの比較を行ったもので、本研究全体に対する示唆は大きい。Bでは、インド・マウリヤ王朝の第三代アショーカ王の碑文にアリストテレスの倫理学用語が存在することを指摘した。ヘレニズム・ローマ期の辺境を扱う研究全体への貢献は大きい。研究代表者はまた3回の学会発表を行った。D「アショーカ王カンダハル碑文におけるアクラシア概念」(比較思想学会第45回大会)、E「「魂の座」と「身体」を巡って」(東京都立哲学会2018年度大会)、F「エシックを伝える言葉、エシックスを語る言葉」(ギリシア・アラビア・ラテン哲学研究会第一回大会)である。2) 研究分担者は以下の研究を行なった。小島和男は「Richard Fletcher, Apuleius' Platonism: The Impersonation of Philosophyへの書評」(日本西洋古典研究会編『西洋古典学研究』第67号、pp. 150-153)を執筆した。宮崎文典は第37回政治哲学研究会にて討論(題目「近藤和貴氏の報告「プラトン『メネクセノス』と「忘却の政治」」へのコメント」)を行った。いずれも、本研究の核を担っており、本研究全体に対する貢献度は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたが、2017年度(平成29年度)より2019年度(令和元年度)に亘る計画である本研究のうち、2018年度(平成30年度)は二年目に当たる。前年度の基礎研究を引き継いだ上で、研究代表者・金澤修は論文および研究書の分担執筆3本と、学会発表3本を行なっており、単年度での成果は順調に上がっている。また研究分担者・小島和男は「Richard Fletcher, Apuleius' Platonism: The Impersonation of Philosophyへの書評」(日本西洋古典研究会編『西洋古典学研究』第67号、pp. 150-153)を執筆し、宮崎文典は第37回政治哲学研究会にて討論「近藤和貴氏の報告「プラトン『メネクセノス』と「忘却の政治」」へのコメント」を行いつつ、最終年度に向けてのテキスト読解及び最新資料の検討なども含めた、基礎的ではあるが重要な研究を行なっており、その限りでは現時点での研究進捗状況は「おおむね順調」であると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度(令和元年度)は、本科研研究の全体的な視点から言えば最終年度にあたり、研究代表者及び研究分担者2名は、本研究の十全な成果報告を視野に入れ、それぞれが担当する課題についてこれまでの研究成果をまとめる方向である。具体的に言えば、研究代表者・金澤修は本科研課題に関連した課題の研究発表を複数の著書での分担執筆複数を行う予定である。また研究分担者も引き続き関連テキストの読解及び最新資料の検討など、本課題が関わる分野の研究について昨年度通り順当に研究を成果としてまとめていく予定である。これらは、本研究の最終年度である本年度に催す研究発表会で公開される予定であり、またそれ以外の成果は研究論文等の形で発表される予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度はパリで開催される国際プラトン学会に出席する計画があり、旅費の高騰などの不測の事態に備えて支出をある程度抑制したため。
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Research Products
(7 results)