2019 Fiscal Year Annual Research Report
Acceptance and Transformation of Platonic cosmology in Hellenistic-Roman boundaries
Project/Area Number |
17K02182
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
金澤 修 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (60524296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 文典 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50506144)
小島 和男 学習院大学, 文学部, 教授 (80383545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 比較思想 / プラトン / アリストテレス / 中期プラトン主義 / アプレイウス / 新プラトン主義 / ミリンダ王の問い / アショーカ王碑文 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究最終年度にあたっており、そのため、これまでの年度の実績を含め、最終的な成果が達成されるように計画し、その計画を運用した。今年度の研究成果は以下の通りである。 (1) 地理的辺境におけるギリシア思想の展開、とりわけプラトン没後のアカデメイア派に影響を与えたピュロン主義懐疑派の起源についてインド思想の影響を示唆するローマ期の『ディオゲネス・ラエルティオス』の記述を基にして、ギリシア語資料はもとより、パーリ語仏教文典に基づいて両者の関係を精査した。 (2)ギリシア語版「アショーカ王碑文」におけるアリストテレスの倫理思想、およびピュタゴラス派の輪廻思想の影響について、パーリ語原典、アラム語翻訳資料に基づいて、翻訳者の知的背景を中心に思想的影響関係の実質を考察した。とりわけ仏教思想がどのようなギリシア語に翻訳されたかという点について精査した。 (3)『ミリンダ王の問い』におけるギリシア的倫理思想と仏教の無我論との関係を、行為者の責任論、存在の分析、輪廻における魂の存在論的な位置付けという相異なる観点について、ギリシア、インド双方の文献を原点に基づいて精査した。 (4)現代のアフガニスタン周辺のギリシア植民都市「アイ・ハヌム」遺跡におけるギリシア思想の影響について、出土した「哲学的パピルス断片」や「デルポイ金言断片」などの考古学的資料をもとに、主にプラトン・ピュタゴラス的宇宙論の影響を検討した。以上の成果は主に金澤修の執筆による図書『世界哲学史 1』にまとめられている(研究成果参照)。
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