2017 Fiscal Year Research-status Report
「尊厳」と「意味」を二本柱とした生命の哲学・倫理学の基盤的研究
Project/Area Number |
17K02185
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生命の哲学 / 尊厳 / 人生の意味 / 生命倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は予定通りの研究成果を上げることができた。まず生命と意味の関係については、人生の意味の哲学の最新研究であるJames Tartagliaの著書Philosophy in a Meaningless Life (2016)に関する共著論文集Nihilism and the Meaning of Life : A Philosophical Dialogue with James Tartaglia (2017)を電子書籍として編纂し、刊行した。また、この分野の最新研究状況をレビューした論文「「人生の意味」の哲学」(2017)を『現代思想』誌で刊行した。また、北海道大学哲学会で、人生の意味に対する独在論的アプローチについて発表した。この成果は2018年度に刊行予定である。 次に生命と尊厳の関係については、広島・長崎への原爆投下正当化論をトロッコ問題として議論する論文The Trolley Problem and the Dropping of Atomic Bombs (2017)を刊行した。トロッコ問題の研究によって、スピリチュアリティの論点が浮上してきたことは大きな収穫であった。また、論文Philosophy of Life in Contemporary Society (2017)を刊行し、生命の哲学の現時点での概説を行なった。また、生命の哲学の最新の議論として論文「独在今在此在的存在者: 生命の哲学の構築に向けて(9)」(2017)を刊行し、人称的世界の哲学との接続を試みた。 国際学会等での発表として、欧州日本哲学会にて脳死身体と尊厳について発表し、またブリュッセル自由大学において2本の講演と2回の特別授業を行ない、研究成果を広く紹介した。以上のように、本年度は予定を上回る研究成果を上げることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「意味」と「尊厳」に着目した研究が予定以上にはかどり、多くの研究成果を刊行し、また学会発表することができた。その内容は概要にて詳述したとおりである。今年度の研究の過程において、人生の意味の哲学をめぐる国際会議を2018年に北海道大学で開催する案が浮上し、他の科研の代表者である蔵田伸雄教授とそれを実現すべく進めている。これも本研究からの副産物である。また、本研究が対象としている反出生主義の代表的な論者であるデイビッド・ベネター教授とコンタクトできたのも予定外の収穫であった。次年度に向けて展開していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に蓄積した研究成果を国際学会・集会にて発表し、さらに研究を展開していく予定である。現在のところ、以下の国際学会・集会での研究発表が予定されている。(1)6月に中国・広州市で開催されるWoodenfish財団の学術集会における発表、(2)8月にスウェーデンで開催されるInternational Conference on Death and Dydingにおける発表、(3)8月に北海道大学で開催されるInternational Conference on Philosophy and Meaning in Lifeにおける発表、(4)9月にドイツ・ヒルデスハイムにおける欧州日本哲学会における発表である。これらの発表を通して自説を練り上げ、英語論文を学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
研究費はおおむね使用計画通りに使用したが、消耗品等の使用において若干の未使用額が生じた。次年度に使用することとする。
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Research Products
(11 results)