2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Preliminary Research on the Philosophy and Ethics of Life From the Viewpoints of Dignity and Meaning
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17K02185
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏田 伸雄 北海道大学, 文学研究院, 教授 (50303714)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生命の哲学 / 誕生肯定 / 生の肯定 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究の最終年度であり、総括的な研究を遂行した。まず「意味」の観点からの生命の哲学の研究について、ヴィクトール・フランクルの生きることの肯定の心理学から、生きる意味を追求する主体としての独在的存在者の概念を抽出し、また肯定と意味を接続する方式についての彼の思索を研究した。その結果、ニーチェの「永遠回帰」「運命愛」に見られる必然性への愛を、フランクルを介して「誕生肯定」へと結びつける可能性を見出した。この研究成果は早稲田大学が発行する『Journal of Philosophy of Life』にて刊行した。 本研究を世界に発信する一環として、第2回「人生の意味の哲学」国際会議を早稲田大学にて申請者を大会長として開催し、海外から50名を超える参加者が発表した。本研究を世界に印象付けることができたと考えている。第3回国際会議は2020年7月に英国バーミンガム大学を拠点としてオンライン会議で行なわれる予定であり、そのための研究の引継ぎも行なった。また、北海道大学で開催された第2回国際会議の論文集を上記ジャーナルにて刊行した。 次に「尊厳」の観点からの生命の哲学については、独在的存在者の独在性を尊厳として再解釈し、それが人生の運命と必然性にいかに関係しているかを「起点視点」から開ける「現実世界の開け」と「実在視点」から開ける「存在世界の開け」に区分するという提案を行なった。この研究成果は入不二基義との共著図書『運命論を哲学する』として刊行された。 さらに生命の哲学の新展開として、生物哲学と人工知能研究における「身体」と「生命」の概念についての最近の研究を概観し、ハイデガー、ヨーナス、ヴァレラらの人工知能研究へのインパクトを考察した。これは生命の哲学の今後の研究の地平を拡大するものになると考えている。
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Research Products
(12 results)