2019 Fiscal Year Research-status Report
A comprehensive review of the philosophical-ethical significance of Hannah Arendt's thought
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17K02191
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
三浦 隆宏 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (90633917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百木 漠 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (10793581)
渡名喜 庸哲 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (40633540)
木村 史人 立正大学, 文学部, 専任講師 (90757725)
河合 恭平 日本大学, 文理学部, 助手 (80822220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハンナ・アーレント / シティズンシップ / 反出生主義 / 出生 / 責任・倫理・道徳 / 労働 / 人間/動物 / ICT・モビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では最終年度であった令和元年度は、日本アーレント研究会の夏の大会で米国の著名なアーレント研究者であるデーナ・ヴィラ教授を招聘し、シンポジウム「哲学と政治の間の緊張――シティズンシップについて」を開催したほか、3年間の研究成果として公刊する『アーレント読本』(法政大学出版局)の編集作業に年間を通じて注力しつづけた。その結果、『読本』は今年の夏までには出版する運びである。 ただし、本研究の締めくくりとして予定していた春の定例会(シンポジウム「「生まれること」を考える」)が、新型コロナウイルスの影響で延期となり、研究期間を一年間延長することとなった。 各人の研究実績としては、代表者の三浦は『アーレント読本』の編集作業にあたるとともに、これまでの自身の研究成果をまとめるべく単著書の刊行準備を進めたほか、分担者の渡名喜は同読本での執筆項目である「責任・倫理・道徳」の問題に関わる文献購読を行ない、とりわけレヴィナス、デリダ、ジュディス・バトラーの思想の検討を進めた。また分担者の百木は読本の担当箇所である「労働」の研究を進めるとともに、著作解題の修正作業にもあたった。さらに分担者の木村は、読本の執筆項目の「意志」、およびコラムの「ハイデガー」に関する研究を進めるとともに、人間とそれ以外の動物の言葉(意味)の修得に関する研究をも行なった。そして今年度から新たに分担者として加わった河合は、読本の「社会的なもの/社会」の執筆にあたり、社会学の概念史および社会集団論の観点からアーレント思想の特徴を提示した。また、ICTやモビリティの展開に対する彼女の思想の有効性についての文献研究を進め、その成果は編著本として刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のローゼンミュラー教授(ドルトムント応用科学大学)につづき、ヴィラ教授(ノートルダム大学)を招聘しシンポジウムを開催することで、アーレント研究の国際共同研究(ドイツ語圏、英語圏)の礎を築くとともに、国内外総勢50名の執筆者からなる『アーレント読本』の刊行のめどがついたこと、また代表者・分担者個人としても個々に予定通りの研究を遂行できたことから、「おおむね順調に進展している」と判断してよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの収束状況を見極めつつ、延期となったシンポジウム「「生まれること」を考える」を年度内に開催する。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた春の定例会(シンポジウム「「生まれること」を考える」於:大阪大学豊中キャンパス)が新型コロナウイルスの影響で延期となり、登壇者と研究会スタッフらの旅費・宿泊費の執行ができなかったため。
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