2020 Fiscal Year Research-status Report
Philosophical and Ethical Thought in 5th Century Greece
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17K02196
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中澤 務 関西大学, 文学部, 教授 (10241283)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソフィスト / 古代ギリシア / 紀元前5世紀 / 自然哲学 / 弁論術 / 相対主義 / ノモスとピュシス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、研究実施計画にもとづいて、2019年度に実施した「基礎的研究3(共同体論と倫理思想)」の1年目の基本的研究成果を下敷きに、本格的な研究を展開するとともに、これまでの三つの基礎的研究成果を踏まえた「総合的研究:紀元前5世紀の哲学・倫理思想の全体像」をまとめるための準備的な作業を実施した。具体的な研究実績の概要は下記の通りである。 ①基礎的研究3(共同体論と倫理思想):この研究の目的は、「ノモスとピュシスのアンチテーゼ」の問題の登場をきっかけに、共同体と倫理の基礎付けをめぐる諸理論がどのように生じたのかを多面的に分析し、そこで新たに登場した社会発生論や社会契約論の内実とその意味を考察することにある。本年度は、前年度の基礎的な資料分析と考察をもとにして、より具体的な研究を実施した。とくに、この問題をめぐるテキストであるアンティフォン、ヒッピアスらのテキストを詳しく分析するとともに、プラトン『ゴルギアス』におけるカリクレスの思想の考察をおこなった。さらに、共同体と倫理思想をめぐる応用的課題として、いわゆる「シシュフォス断片」の分析を詳細におこない、そこで提示されている神と共同体をめぐる問題について、一定の知見を得た。 ②総合的研究(紀元前5世紀の哲学・倫理思想の全体像):この研究の目的は、基礎的研究1~3の成果を踏まえ、紀元前5世紀の哲学・倫理思想の全体像をまとめるとともに、研究成果がギリシア哲学史理解全体に対してもたらす意味を総合的に考察することにある。研究1年目の本年度は、基礎的研究1(紀元前5世紀の自然哲学)と基礎的研究2(言語と世界を巡る認識論)をめぐるこれまでの研究成果を整理した。具体的には、プロタゴラス、ゴルギアス、プロディコス、アンティフォンらをめぐり、これらのソフィストにおける自然哲学と認識論をめぐる議論をまとめる作業をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示されたロードマップにしたがって、ほぼ計画通りの研究が順調に展開している。基礎的研究3では予定されていた作業をすべて完了し、予想された研究成果に至ることができた。また、総合的研究における1年目の準備作業も順調に進展し、これまでの研究成果のまとめの作業も最終年度までに完了できる見込みとなっている。以上から、本研究は、計画通りに、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は研究計画通り順調に進展しており、予想された研究成果が得られている。今後の研究計画においても、とくに重大な問題や、研究の遅れは発生しておらず、予定された研究計画をすべて遂行できる見込みである。研究計画を変更する必要性は生じておらず、今後も、研究計画にしたがい、所定の研究を進めていく方針である。
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Research Products
(1 results)