2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research Project on How Yan Fu's Experience of the West Influenced the Process of Producing Tianyanlun (his translation of T. Huxley's Evolution and Ethics), and Reception of this Text in Late Qing
Project/Area Number |
17K02203
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
坂元 ひろ子 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (30205778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 信夫 学習院大学, 付置研究所, 教授 (80255265)
吉川 次郎 中京大学, 国際学部, 准教授 (00510778)
小野 泰教 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (50610953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 厳復 / 『天演論』 / 社会進化論 / 清末メディア / 清末思想 / 翻訳 / トマス・ハクスリー / 西洋経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
トマス・ハクスリーの著作(「進化と倫理 プロレゴメナ」1894年とロマネス講演「進化と倫理」1893年)の訳解にノートを付した厳復の『天演論』(1898年刊行)は中国近代思想史上、最も影響を及ぼした書籍と目されてきた。しかし、古典を多く引用する規範的な古文体のための難解さ、またハクスリー原作が当時の知的背景にあって用いた事例を時に中国の歴史におきかえるという独特な翻案方法をとるため、高度な古漢語解読に加え幅広い東西の歴史的、思想史的知識を要求され、中国でもその読解は困難とされ、よって優れた現代語訳にも欠ける。内外の引用・言及文献は大量で、その捜索・解読にも時間を要し、個人の力では到底、正確な読解は望めず、日本語への翻訳はなされてこなかった。決定版としての翻訳をめざすこの共同プロジェクトは、日本のみならず、広く英語圏そして中国でも期待されている。 よってこのプロジェクトは何より翻訳作業が肝要で、必要なテキストの各種版本・文献類を収集のうえ、この科研のメンバー以外にも研究協力者で韓国語版作成に参加したソウル大学の梁一模教授や民国思想史研究から原正人中央大学准教授も途中より定例研究会や集中合宿の参加・翻訳の分担に加えた。ところがコロナ流行により2020年以降は研究会も内外図書館での資料収集も制限され、電子メールとオンライン会議に頼って進めるほかなくなり、当初の予定は大幅に遅れた。予定していた厳復の留学先、イギリスへの調査も断念せざるをえなかった。 そこで第一の目標、『天演論』の翻訳に全力を集中することとし、岩波書店から坂元ひろ子・高柳信夫監訳『厳復 天演論』(岩波文庫)としての刊行が正式に決まり、2023年5月に脱稿、同年12月に刊行という予定が組まれ、目下、脱稿にむけて監訳作業が進行中である。刊行を待って予定していた成果報告学術シンポジウムの開催を計画している。
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Research Products
(10 results)