2019 Fiscal Year Research-status Report
明清時代における滸湾(江西金渓)の出版業に関する総合的研究
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17K02212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陳 捷 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40318580)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 明清出版史 / 江西地方出版 / 書籍文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明清時代において書籍の重要な生産地であった江西省金渓県滸湾鎮の書籍出版の歴史に焦点を合わせ、文献調査の手法とフィールドワークに基づき、その地域の出版業の形成の歴史、各時期の発展状況、出版された主な書籍の内容を検討し、具体的な印刷技術・生産過程に関する考察を行うと同時に、印刷工房における材木の調達・版下から、書店における販売に至るまでの経営組織や、全国的な書籍販売のネットワークについても明らかにするものである。
本研究の計画としては、まず現存されている明清時代に滸湾およびその周辺地域に印刷された書籍を調査し、明清以降の蔵書目録および地方文献なども参考して、滸湾で出版された書物の目録を作成する。各公私図書館・文庫に所蔵されているそれらの書物の原本を調査し、そのそれぞれの内容と編纂・出版の過程について考察を行う。また、地方文献・族譜家譜の調査を行い、滸湾の出版業の形成・盛衰の歴史や書籍の生産過程、経営組織および販売ネットワークについて分析を行う。さらに現地の文物管理部門の協力のもとに、印刷工坊・書肆として使われていた明清時代の建築物や現地に残されている印刷関係の器具などを調査し、その同時に、清末民国時代の事情を記憶している年配の方に対する聞き取り調査も行う予定である。このような地道な文献考証とフィールドワークに基づき作業によって、滸湾で出版された主な書籍の内容を解明し、その具体的な印刷技術・生産過程、経営組織および販売ネットワークを考察し、滸湾の出版業の歴史的な歩みを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外における版本および歴史資料の調査は概ね順調に進み、成果報告の準備もある程度できたが、江西省で開催される予定のシンポジウムは先方の準備の都合で先伸ばしされ、また、コロナウイルスの影響で2020年2月~3月までの中国での成果報告も中止となったため、現在学術雑誌へ投稿するための論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの文献調査において得た知見をできるだけ早く論文としてまとめ、機会を得て内外の学会へ向けて発信していきたい。なお、本研究課題については、今後とも引き続き研究を進めていきたい。
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