2017 Fiscal Year Research-status Report
A New Critical Edition of the Mahavastu together with a Glossary and a Grammatical Analysis
Project/Area Number |
17K02219
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
辛嶋 静志 創価大学, 付置研究所, 教授 (80221894)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 《マハーヴァストゥ》 / Mahavastu / 仏教梵語 / 大衆部 / 大衆部出世間部 / 梵語写本 / Middle Indic |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者と研究協力者Marciniak博士は、《マハーヴァストゥ》の最古の梵語写本である貝葉本Sa(13世紀)と最古の紙写本Na(1657年)の読みに基づいて、批判的校訂本を作成し始めた。大部なため、三巻から成るスナール校訂本(全1960頁)に合わせて、三巻に分けて出版する予定である。Marciniak博士の担当部分、第三巻はほぼ原稿ができあがった。難解な箇所を、研究代表者とほぼ毎日一時間半ずつ、検討してきた。計画通り、平成30年度内に、この第三巻を出版する予定である。博士はすでに第二巻の執筆に取りかかっている。研究代表者の担当する第一巻は、まだ四分の一程度しか進んでいない。 校訂本作成と同時に、代表者は、《マハーヴァストゥ》見られる特異な文法的現象と難解な語彙を集めている。最終的には、『《マハーヴァストゥ》仏教梵語文法及び辞典』として出版する予定である。 学生数名を雇って、《マハーヴァストゥ》研究にとって有用な梵語研究文献などの資料収集と各種辞書のデータ入力をしてもらった。 本来は、代表者と協力者が、カトマンズに赴き、ネパール公文書館に保存されている《マハーヴァストゥ》の最古の紙写本の現物を調査し、かつカラー写真を撮影する予定であったが、相手側と連携がとれず、断念した。 研究代表者は、京都で開かれた日本印度学仏教学会で、関連するテーマで発表した。さらに平成29年度末、『国際仏教学高等研究所年報』第21号に、本研究の成果にもとづく論文を、代表者は三本、協力者Marciniak博士は四本(一本は代表者との共著)、すべて英文で執筆した。いずれも新しい方法論と発見に基づく論文である。2018年7月バンクーバーで開催される第17回国際サンスクリット学会で、これら研究成果について、口頭で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者のいる研究所で、客員研究者として研究に專念している研究協力者Marciniak博士の努力と集中力のおかげで、当初の予定通り、《マハーヴァストゥ》第三巻(約600頁)の批判的校訂本の原稿がほぼ完成した。あと半年掛けて、未解決の難解な箇所を処理すれば、平成30年度内にこの第三巻をまず出版できる。また、代表者と協力者で、本プロジェクトに関する英語論文を都合六本出版することが出来た。 他方、代表者の担当する第一巻の原稿は、まだ四分の一しかできておらず、所期の目標よりも遅れている。平成30年度内にはなんとか完成したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、研究協力者Marciniak博士が作成した《マハーヴァストゥ》批判的校訂本第三巻(約600頁)の難解な箇所を、二人で検討し、平成30年度内に第三巻を出版する。それと同時に、研究代表者は第一巻の校訂作業を進める。一方、Marciniak博士は、第二巻の校訂作業を進める。 平成30年7月の国際サンスクリット学会、同9月の日本印度学仏教学会などで、研究成果を発表する。 平成30年8月~9月には、インド学の世界的権威Oskar von Hinueber教授を、本研究所で招聘し、一緒に難解な箇所の検討をする予定である。 引き続き、学生数名を雇って、各種資料のデータ入力をしてもらう。 代表者は、《マハーヴァストゥ》見られる特異な文法的現象と難解な語彙を集めて、計画している『《マハーヴァストゥ》仏教梵語文法及び辞典』の材料とする。
|
Causes of Carryover |
本科研費以外にも二つの科研費で分担者となっていたので、すべての助成金を使い切れなかった。また年度末に海外に出かけたので、最終調整ができなかった。平成30年度の物品費に加上して使いたい。
|