2017 Fiscal Year Research-status Report
A comprehensive study on German voelkisch religious movements and visual culture
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17K02225
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深澤 英隆 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30208912)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民族主義宗教運動 / 視覚文化 / 近代ドイツ / マテリアル・レリジョン / 宗教美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず視覚文化論関係の研究文献(主として英独書)を収集するとともに、これを読解し、本研究の理論的な基礎を固めるべく努めた。また視覚文化論の観点から宗教を論じた研究文献のうち、未収集のものについてはこれを収集するとともに、その読解を進めた。とりわけ、J・エルキンズ、D・モーガンなどの論著は、本研究との関係が深く、検討のうえ、得るところが大きかった。以上に加えて、研究対象となるドイツ民族主義宗教運動に関わる先行研究の検討を行った。 こうした一方で、民族主義宗教運動の事例研究に関しては、なおドイツ本国でも原資料の発掘や活字化がほとんどなされていないことから、一次資料の収集を行った。平成29年度はとりわけ、画家であり宗教運動家であったフィドゥスに関わる資料の閲覧および収集を、ベルリンの芸術アカデミーにおいて行った。またフィドゥスの生誕の地であるリューベックにおいても調査を行い、当初の計画通りの成果を収めることができた。 研究発表としては、すでに資料収集をある程度行っていたH・ヘンドリッヒの作品および思想における民族主義とその視覚化について、日本宗教学会学術大会において報告を行った。また関連論文として、神学者K・レーゼの民族主義宗教批判についての論稿を執筆した。これは平成30年度中に活字となる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成29年度は、調査対象や研究対象につき、当初予定からの変更が一部あったが、全体としては予定していた通りの進捗状況であったと言える。 資料調査について言えば、中心的な研究対象である画家・思想家フィドゥスの重要資料をベルリンにおいて収集することができたことは非常に大きい。これまで収集してきた資料の欠損を補う重要な文書の発見もあり、本研究課題の今後の進捗にも大きく影響するものと言える。 事例研究については、当初予定を変更し、H・ヘンドリッヒの事例の検討および学会発表を行った。ヘンドリッヒについては、その史的重要性が見逃されており、国内外においてこれまで研究が皆無であった。その意味では、先駆的な成果を達成できたものと考える。またこれもその思想史的重要性が見逃されてきた神学者K・レーゼの民族主義宗教運動批判についての論稿を脱稿したことは、本研究課題の最初の目に見える成果であったと言える。 理論的研究については、初年度ということもあり、なおその端緒についたところであるが、視覚文化論と物質文化論が宗教というテーマと交錯する領域に関わる先行研究についての検討を進めることができた。この領域は、日本ではまだまったく未開拓の分野であり、その意味でも本研究課題がその先駆的成果となるべく研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まず引き続き、視覚文化論および宗教視覚文化論の先行研究の検討を行う。平成30年度はとりわけ、近代以降の宗教視覚文化についての先行研究を検討し、本研究の理論的側面の基礎固めを行う。 資料調査としては、まずバイエルン国立図書館(ドイツ、ミュンヘン市)にて、ドイツ民族主義運動関連の資料を収集するほか、同時代の視覚文化についての研究業績の調査・検討をも行う。またやはりバイエルン州レーゲンスブルク市にあるヴァルハラ神殿を調査する。同神殿は、19世紀中葉に建てられたドイツ民族主義を象徴する建築物であり、ドイツ民族主義と視覚文化の関連を探るためには格好の調査対象である。 事例研究としては、平成29年度の資料収集に基づき、F・ゼーセルベルクの民族主義美学思想およびゼーセルベルクが率いたヴェルダンディ運動の検討を行う。同運動は、ドイツ民族主義運動の中では唯一芸術運動として成立したものであり、またその理念の中核には、ドイツ的宗教美術の創出というプログラムがあったことから、本研究課題にとって重要な意味をもつ研究対象である。研究成果は、日本宗教学会および立教大学・テュービンゲン大学共催のシンポジウムで発表する予定である。 平成31年度には、前2年間の事例研究を総合するかたちで、ドイツ民族主義宗教運動における視覚文化の全体的特徴とその宗教的・文化的機能を解明する。また、この事例研究の成果を、視覚文化論一般の議論の地平の中で再把握し、宗教と視覚文化に関わる一般的・理論的考察を行い、一定の結論を導き出す。
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Causes of Carryover |
予定していた資料の購入に変更があったため、639円の残額が出たが、これについては平成30年度の予算に繰り越して有効利用する予定である。
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Research Products
(1 results)