2022 Fiscal Year Annual Research Report
Philosophical study of religious emotions based on memories of the dead: Founding the ethics for the dead
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17K02233
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
佐藤 啓介 上智大学, 実践宗教学研究科, 教授 (30508528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 死者倫理 / 宗教哲学 / 死者論 / 宗教学 / 死者AI / 死者の存在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの影響により、1年延長して2021年度までの予定であった本研究課題の終了期間を再延長して2022年度の研究に取り組んだ。そのため、当初予定の最終年度に本来実施を計画していた「死者倫理をめぐる宗教哲学と宗教学の接続」を中心に研究を進めた。 特に本年度は、AIによって死者を再現する技術(死者AI)を具体例として取り上げ、それが死者倫理の観点からどのように考えられ、また死者倫理の主題を深める技術であるかについて、研究を進めた。これは当初の予定である「死者倫理をめぐる宗教哲学と宗教学の接続」を具体的に実現した応用的研究であり、計画に沿った研究をおこなうことができた。そこから、佐藤2022、佐藤ほか2023の論文成果を生むことにもなった。 それらの論文では、死者AIが死者を再現することについて、法的観点ならびに心理学的観点からの予備的考察をおこなったうえで、死者AIに対して社会が抱く不謹慎・冒涜といった感情を分析の俎上にあげ、何に対してそういう感情を抱くのか、またその背後において社会が重視している死者に関する社会規範は何なのかを言語化し、整理することに努めた。 そのような応用研究を通じて、死者に対する倫理的配慮の根拠を、より理論的に整理した学会発表(「死者の存在論と死者の関係論」)をおこなった。そこでは、死者を倫理的に配慮する理由は、存在論的な理由(死者が存在したから)と関係論的な理由(死者が私たちに関わったから)に大別でき、かつそれぞれの理由がどの時間性(現在/過去)を重視するかでさらに区別できることを示した。この議論は、研究期間全体を通じて構築しようとした「死者倫理の基盤」たりうるものであるといえよう。
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Research Products
(5 results)