2018 Fiscal Year Research-status Report
雑誌メディアによる戦後日本の秘教運動の宗教史的研究―『日本神学』の変遷を追って
Project/Area Number |
17K02244
|
Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
吉永 進一 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90271600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 英彦 南山大学, 南山宗教文化研究所, 研究員 (10712028)
GAITANIDIS IOA 千葉大学, 国際教養学部, 助教 (90715856)
塚田 穂高 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (40585395)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | オカルト / 雑誌 / 戦後政治 / 日蓮宗 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は5月26日に千葉大学で「戦後オカルト再考―政治的背景をさぐる―」と題して現代オカルトと政治に関するワークショップを行い、大道晴香「戦後社会と〈東北〉――1960年代の〈イタコ〉表象をめぐって」、栗田英彦「新左翼運動からオカルト思想へ――太田龍の「革命」と「宗教」」、橋迫瑞穂「オカルト雑誌」の女性たち――80年代「ムー」を中心に」、ヤニス・ガイタニディス「鳩山由紀夫の「友愛」思想――政治家のオカルト言論について」の発表があり、『日本神学』の周囲に展開する1960年代から現代にかけてのオカルトと政治についての議論を深めた。一方、雑誌メディアにおけるオカルト的なものについて明治期から戦後までの俯瞰図を描くために、明治末期に出されていた精神療法雑誌『心の友』(1906~1912年)を調査した。他方、戦後については、2019年1月26日京大人文研にてワークショップ「余白の宗教雑誌:宗教と宗教ならざるものの間」を共催し、大道晴香より「〈秘境〉の時代―「オカルトブーム」前夜としての60年代―」の発表があり、秘境雑誌がオカルト雑誌の先駆となったことについて議論された。また調査では、『日本神学』の前身『宗教文化』創刊に重要な役割を果たした今成覚禅のご子孫にインタビューを行い、今成の宗教と文化活動について聞き取りを行った。また『日本神学』発行者中野文隆のご子孫にもインタビューして、文隆の父は、彼自身も有力な僧侶であり、また日蓮宗管長をつとめた金子日威の従兄弟にあたるなど、中野家は日蓮宗の宗門の中心にあったが、文隆はさまざまなオカルト運動と接触しプロモートしていた。さらに、何度かの静岡の図書館にて新聞などを閲覧し、『日本神学』の背景となる近代静岡の宗教事情を調査した。分担者の栗田はロンドンでの国際ワークショップに参加し、グローバルな戦後オカルティズムの広がりについての知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にコピー作業を完了したので、研究活動は資料の読解が中心であり、あまり活発な活動はなかったが、分担者も代表者も、それぞれの立場からの分析は進んでいると思われる。現地での調査は比較的順調に進んでいる。ただし、目次とりなどの基礎的作業の一部に遅れがある。
|
Strategy for Future Research Activity |
目次作成を最優先で進めること、関係者の子孫への聞き取り調査を進めていくこと、何人かの重要な書き手については個別にまとめていくこと、具体的にいくつかの霊的思想について日本での流布について調査を進めること、そして報告書作成に向けて『日本神学』の略史を作成することなどが必要である。今年も二回以上のワークショップを行い、情報を研究分担者や協力者だけでなく、広く研究コミュニティに提供していく。最終的には電子媒体での報告書の作成を予定している。
|
Causes of Carryover |
わずかな額なので次年度に必要な物品購入などで使い切る予定である。
|