2017 Fiscal Year Research-status Report
芸術的独創性と天才・異才の育成における排除と包摂の思想史研究
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17K02259
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Research Institution | Akita University of Art |
Principal Investigator |
池亀 直子 秋田公立美術大学, 美術学部, 准教授 (10359698)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 芸術的才能 / 独創性 / 障害 / 排除と包摂 / 優生思想 / H.エリス / T.ウェッジウッド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、芸術における「独創性」の概念と、人間の能力を同時代の科学により解明しようとした近代の能力論、人間論について思想史的アプローチから再検討を行い、「独創性」に潜在する人間の孤立や排除といった今日的課題を明らかにして、現代の芸術における個人と社会の関係、および「天才・異才」という芸術的才能、独創的才能の育成について考えることを目的とする。 研究1年目にあたる平成29年度は、本研究を着想するきっかけとなった研究代表者の平成28年度までの科学研究費基盤研究C「産業社会における天才、狂気、障害と芸術的才能をめぐる優生思想の比較思想史研究」の研究成果のうち、学会賞を受賞した2016年の成果報告論文に関して学会の依頼で学会発表及び学会誌への寄稿を行なった。障害児の芸術を通した生活環境理解と社会的包摂についてまとめたことにより、本研究の主たるテーマである障害者を含む芸術的才能の育成と社会的排除・社会的包摂の問題を整理し、今後の展望をより明確にすることができた。 そのうえで、当初の計画通りイギリスに渡航してロンドンのウェルカム・ライブラリー、ブリティッシュ・ライブラリーにてイギリスの優生学における芸術的才能の位置づけに関する資料収集と内容の分析を行なった。この資料収集では予定していたH.エリスの天才論に関する資料に加え、平成30年度に収集を予定していたT.ウェッジウッドの芸術論及び天才教育論に関する資料の一部を閲覧・入手することができ、さらに19-20世紀にかけての障害と芸術をめぐる最新の研究動向についての文献情報を得るなど、予想以上の成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した1.イギリスの優生学における芸術的才能の位置づけに関する資料収集、2.H.エリスの天才論及び優生学の動向に関する資料収集を行い、分析も計画通り進行していることから研究は順調に進展していると考える。なお、渡英は当初予定した8月ではなく予備期間の11月-12月となったが、はじめに想定した研究が計画通り進まない場合の対応策を適用し、国内資料及びオンライン閲覧システムで入手可能な資料を優先して分析を行ったため、全体の進行に支障は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる平成30年度は1.S.T.コールリッジの芸術思想と同時代・後代の教育家、哲学者に対する影響の分析、2.日本における「天才・異才」、「独創性」、「個性」をめぐる言説の検討を中心に研究を行う。 なお、当初の研究計画で予定した芸術教育における「天才・異才」の育成と優生学に関する資料収集、特にT.ウェッジウッドの天才教育論に関するイギリスでの資料収集は、平成31年度に実施することとし研究計画の一部入れ替えを行う。これは平成29年度の資料収集で予想以上の成果を得たため、平成30年度にその分析を行ってから資料の再収集にあたる方がより有益な成果が得られると判断されたことを理由とする。 平成31年度の研究計画を一部前倒しすること、またオンライン閲覧システムの活用が可能であることから、この変更により研究全体の進展に支障は出ないものと考える。その他については当初の研究計画通りに遂行する。
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Research Products
(2 results)