2018 Fiscal Year Research-status Report
German-Japanese Ideological Alliance
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17K02260
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
今野 元 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60444949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大串兎代夫 / 矢部貞治 / 岡義武 / 神川彦松 / 小野清一郎 / カール・シュミット / オットー・ケルロイター |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は大串兎代夫、矢部貞治の研究成果を基に、論旨の構築を行った。その過程で、やはり同期の岡義武が比較対象として非常に重要だという思いが強まった。研究の成果は、中部ドイツ史研究会での報告「戦時下の東京帝国大学法学部――大串兎代夫と矢部貞治の総力戦体制構想」(名古屋:6月30日)、ドイツ現代史研究会での報告「昭和前期の東京帝国大学法学部におけるドイツ政治分析――大串兎代夫・矢部貞治・岡義武を中心に」(京都:1月30日)で披露された。また成果の一部は、今年度刊行の拙著『吉野作造と上杉愼吉――日独戦争から大正デモクラシーへ』の末尾でも披露された。これに対し、南原繁、神川彦松については、ほとんど取り組むいとまがなかった。小野清一郎については、大串との関係で研究を深めることができたが、まだ自説を披露するには至っていない。また平成30年度もベルリン、ミュンヒェン、ヴィーンを巡る有益な史料収集旅行ができたが、期待して閲覧した史料が内容的にあまり使えないということもあった(ベルリン)。ただ帰国後にベルリンに別な重要史料があることが発覚したので、令和元年度の史料収集では事前準備を入念に行い、より効率的に動きたいと思う。なお本研究に連続するものとして、穗積陳重の「祖先教」論の研究を始めたのも、平成30年度の重要な成果であり、これで研究上の視野が大いに広がったと思われる。穗積を視野に入れつつ昭和前期の考察を行うなら、一度イギリスに行く必要があるかもしれないと考えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように2回の研究会報告を行って活発に意見交換を行い、また単行本の刊行によって自説を世に問うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、ドイツ現代史学会での報告「昭和前期の東京帝国大学法学部におけるドイツ政治分析――大串兎代夫・矢部貞治・岡義武を中心に」をドイツ語論文にし、現代史研究所(ミュンヒェン)の論文査読に提出してみたいと考えている。また穗積陳重論文を完成させ、これをできれば年度内に刊行したいと思う。そのうえで、神川、南原、小野も含めた昭和前期日独交流の全体像の執筆に入りたいと計画している。
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Causes of Carryover |
年度末に複写発注のち予定が一部変わったためで、使用計画が大きく変わったということはない。
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