2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジア翻訳語ネットワークと近代史学史に関する思想史的研究
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17K02271
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 史学思想史 / 東アジア近世近代史 / 帝国と植民地 / トランスナショナル・ヒストリー / 儒学・朱子学 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア史学思想研究会を合計7回開催した。開催日と報告者は以下の通り。①2017年6月9日「近代朝鮮儒学史の形成」ロ官汎(韓国・ソウル大学校)②2017年6月17日「戦後日本の普遍主義を問う-権赫泰『平和なき「平和主義」』を読む」廣瀬陽一(大阪府立大学)、原佑介(立命館大学)、権赫泰(韓国・聖公会大学)③2017年7月1日「日本史学史を問う-岐路に立つ歴史学の行方」戸邉秀明(東京経済大学)、田中聡(立命館大学)④2017年10月7日「近世日中思想交渉に関する最近の研究」徐興慶(台湾・中国文化大学)「近世~近代日中韓における儒学思想交流」許怡齢(台湾・中国文化大学)⑤2017年10月20日「わが日本史研究修行」張憲生(中国・広東外語外貿大学)⑥2017年11月3日「近代における勧善書への眼差し」肖ゴン(中国・キ南大学)⑦2018年1月27・28日「近代歴史学と実証主義の陥穽」桂島宣弘(立命館大学)「傅斯年史学の興衰」呉炳守(韓国・東北亜歴史財団)「植民主義歴史学を超えて:植民主義歴史学のイデオロギーと近代歴史学」尹海東(韓国・漢陽大学校)「近代日本の朝鮮研究:統計的アプローチ」張信(韓国・教員大学校)「国史と東洋史の狭間:京城帝大と「東洋文化研究」」鄭駿永(韓国・ソウル大学校)「植民地における帝国日本の歴史編纂事業:朝鮮と台湾の事例を中心に」鄭尚雨(韓国・翰林大学)「戦後における末松保和の朝鮮史研究:連続と断絶」辛珠柏(韓国・延世大学校)「朝鮮史から韓国史へ-東アジアにおける「文化史学」の受容について」沈煕燦(立命館大学)「北朝鮮の朝鮮古代史研究と金ト奉」李廷斌(韓国・忠北大学)。本年度の科研費の多くは、これら日中韓台の研究者の招聘に用いられた。また、研究代表者は、これまでの研究のひとまずのまとめとして1月27日の研究会で基調講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年を通じて、東アジア史学思想史研究会を精力的に開催し、国内外の研究者との活発な意見交換を行うことができた。また、史資料収集や意見交換を積極的に実施し、想定以上の成果を挙げることができた。しかしながら、研究成果については現在整理中で、その成果の公表等は2018年度に持ち越されることとなる。なお、前記1月27・28日実施の研究会(シンポジウム)については、『季刊日本思想史』(ぺりかん社)の特集号として刊行されることとなっており、現在準備中である。また、研究代表者の成果については、単著『思想史で読む史学概論』(文理閣)として刊行予定で、目下執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、東アジア史学思想研究会を開催し、とりわけ東アジア史学思想の植民地朝鮮部門の研究に目途をつける。昨年来の報告についての論文執筆や単行本執筆も実施する。また、既に中国アモイ大学で研究報告を実施することが決定しているので(2018年6月)、当該テーマに関わる中国側研究者との意見交換も行うこととしたい。2019年度(最終年度)に向けて、とくに中国に関わる研究・史料収集について見通しをつける計画である。
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Causes of Carryover |
東アジア史学思想研究会例会において韓国からの招聘研究者が一名欠席したため。2018年度において、史資料購入費・韓国等からの研究者招聘のための費用として用いる計画である。
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