2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Development of Musical Culture and Society in Vienna as Seen in Unpublished Diaries (1750-1850)
Project/Area Number |
17K02280
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
Gerald Groemer 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50303392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウィーン / 日記類 / 音楽史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は未刊の日記類を主な史資料と見なし、18世紀後半から19世紀前半におけるウィーンで行われたコンサート、歌劇・バレエなどの上演の歴史的変遷を明らかにすることを目指したものである。19世紀においてウィーンでは、諸芸能の商品化と商業化が著しく進み、それにより音楽文化を育んだ者の社会的地位が急速に変化し、この変化によって新しい芸術的可能性が生み出された。この諸変化は日記・見聞記の史料に如実に反映され、資料を入念にひもとくことにより、芸術と社会の相互関係の輪郭を研究期間以内に明らかにすることが充分に可能であると考えられる。科学研究費の研究成果となる19世紀初頭のウィーン、とりわけウィーン会議が行われた1815年前後の音楽界の実態を分析する論文4編を執筆・刊行した。また研究の過程で、未刊の日記類にはウィーンの音楽史あるいは文化史全般を知るために多くの貴重な情報が含まれていることに気づいた。その分析はもちろん、抜粋と翻刻がほとんど行われていないため、本研究においてはまずマティアス・ペルトの膨大な日記から、著者が日記を書き始めた当初から8年間の記録より音楽史に関連する項目を抽出・翻刻し、そして各項目に含まれている地名、人名、演奏会場名などをできるだけ正確に特定し、注釈・解説した。この作業により学術論文2編を完成・発表し、1803年~1811年のウィーンの音楽文化の実態に迫り、学界に新資料を提供した。
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