2019 Fiscal Year Annual Research Report
General Study on Differences in Own Works with the Scores in the Performances of a Composers/Pianists
Project/Area Number |
17K02288
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Research Institution | Kunitachi College of Music |
Principal Investigator |
加藤 一郎 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (60224490)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 作曲家・ピアニスト / 自作自演 / 楽譜との相違 / 作品と演奏の本質 / 創造的演奏 / 感性とパーソナリティー / 芸術的アイデンティティ / 楽譜の本質的役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は研究協力者の久行敏彦、森垣桂一、林達也と共著で書籍『作曲家・ピアニストによる自作品の演奏と楽譜との相違に関する総合的研究』を刊行した。久行はB. バルトークをテーマとし、民謡素材による楽曲に的を絞り、“Bartok at the Piano”等の音源資料を基に彼の演奏解釈と楽譜との相違点について考察した。森垣はS. ラフマニノフをテーマとし、「ラフマニノフの芸術」等の音源資料を基に、作曲と演奏における楽譜の役割について考察し、彼の演奏解釈と楽譜との相違点について論考した。林はG. フォーレ、C. ドビュッシー、A. スクリャービン、M. ラヴェルを例にとり、個々の作曲家の自作自演と楽譜との相違について「大作曲家達のピアノによる自作自演集」等の音源資料を基に論考した。研究代表者の加藤はF. ショパンが弟子のカミーユ・デュボワの楽譜に行った書き込みを基に、彼が自らの作品の演奏解釈をどのように変更したかについて論考した。 加藤は2019年7月29日に韓国ピアノ協会の招きにより、The 2019 ASIA International Piano Academy & Festival in Korea において講演“What Is the Music that Chopin Really Sought? By the Analysis of his Autographs and the Notes to the Scores of his Students”を行った。更に、国立音楽大学研究紀要に「バッハの〈ドゥーブル〉―その様式的特徴―」を発表し、国立音楽大学大学院研究年報に「カミーユ・デュボワ=オメアラの楽譜の書き込みに関する序論的研究―フランス国立図書館所蔵資料のアーカイヴ調査による―」を発表した。本研究により作曲行為と演奏行為の芸術的アプローチの違いが明らかになった。
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